日本進出の韓国企業が好調、8割超が増収 懸念事項は円安、日韓関係

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 日本国内の韓国企業が好調だ。韓国貿易協会が行ったアンケート調査によると、日本に進出している韓国企業の85.7%が今年の売上高について「増加する」と回答した。さらに「今年の対日ビジネス環境」が前年よりも「悪化する」と回答した企業は5%未満にとどまり、半数近くが「改善する」との明るい見通しを立てていることがわかった。実際、対日輸出では一昨年以降、15ヶ月連続でプラス成長となっており、輸出に依存する韓国企業の成長を後押ししている。対日ビジネスが好調な理由に、多くの韓国企業は「日本の景気回復」を挙げた。

◆日本の景気回復に期待する一方、「円安」を警戒
 韓国貿易協会(KITA)は3月、国内の韓国企業250社(84社回答)を対象に行った調査結果をまとめた報告書を発表した。これによると、在日韓国企業の46.9%が「今年のビジネス環境が昨年より改善する」とし、「悪化する」(4.9%)を圧倒した。売上高見通しでは85.7%が「増加する」と予測。営業利益についても81.8%が「増加する」と強気の姿勢をみせた。

 対日ビジネスに与える影響として最も大きな要因に挙げられたのが「日本の景気回復」だ。昨年11月に日本の景気拡大が高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目の長さになったニュースは韓国の経済各紙でも取り上げられ、その関心度の高さをうかがわせた。このほか、「日本国内におけるマーケティングの能力」(19.5%)、「価格競争力」(18.3%)なども理由に上がった。

 一方、否定的な要因で最も多かったのが「円安」だ。韓国企業にとって採算性の維持には過度の円安はマイナスとなるからだ。企業の7割が「100円=1000ウォン」以上の為替レートが必要だとしたが、実際には「951〜1000ウォン」になると予想した。このほか、2番目には「日韓関係の悪化」が挙げられ、多くの企業が「ビジネスパートナーとして冷遇される」「新規取引先の発掘が困難になる」などを懸念した。

◆韓国アパレルブランドが日本を席巻するとの大胆予測も
 実際、韓国経済も好調だ。米国格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、韓国の年間GDP成長率を2.8%に上方修正し、今年第1四半期は3.2%と予測した。世界的な景気回復が韓国の輸出を後押しする材料と見たようだ。

 このような中、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)東京貿易館は、日本のアパレル業界に特に注目しているようだ。アパレル市場規模自体は縮小傾向にあるが、ECサイト市場は好調と分析。そこで若者に人気とされる韓国のアパレルブランドを前面に押し出し、新“韓流”旋風を巻き起こすことを狙う。協会関係者は「(今こそ)進出に適正な時期」だと語る。

 日本では10〜20代のスマートフォンを通じた購入経験が90%に達するなど、若年層がインターネット通信販売市場の成長を牽引している。特に若い女性の間で「オルチャンファッション」(=かっこいいファッション)が流行しており、協会は「流行の先を行く」という認識が広まっていると分析した。「(もはや)韓国のストリートファッションは手頃で安い価格の服ではない。トレンディなファッションブランドとなっている」(同協会)と自信をのぞかせた。

 韓流ドラマやKPOPで日本市場で成功を収めてきた韓国。韓流ファッションは新たなスタンダードとなるか。韓国企業の動向に注目したい。

Text by 古久澤直樹