資金決済システムにブロックチェーン技術は適用できるのか 検証実施
コンサルティング会社のアクセンチュア、シンガポール金融管理局(MAS)およびシンガポール銀行協会(ABS)は、世界中で行われている日量数兆ドルにもおよぶ銀行間資金決済や資金流動性確保の基盤である資金決済システムについて、ブロックチェーン技術の適用、ならびに技術適用による抜本的な機能強化の可能性を検証したレポートを発表した。
本プロジェクトで得られた成果は、大手金融機関11行と共に実施した、3つの主要なブロックチェーン技術プラットフォームを用いた、プロトタイプ開発による検証に基づいたものだ。今回の検証では、即時グロス決済(RTGS)の実現に必要となる、グリッドロック解消や所要流動性の節約について、分散型システムにおいても機能することを確認したという。即時グロス決済とは、即時性が求められる、銀行間の膨大な資金決済や証券決済のことだ。ブロックチェーンを用いることで、こうした取引に対してよりプライバシーを確保した形でシステムを構築できることが確認できたことは、世界初の試みだと考えられるという。
さらに、ブロックチェーン技術に基づくシステムでは、単一障害点の排除、暗号化によるセキュリティ確保、不変性、リアルタイム処理によりシステムのレジリエンスを向上させ、銀行間の決済リスクの軽減にも寄与するという。
アクセンチュアのグローバル・ブロックチェーン専門チームでマネジング・ディレクターを務めるデイヴィッド・トリート氏は次のように述べている。「MASとABSによるこの革新的な取り組みは、資金決済の分野でブロックチェーンが大きな価値を生み出すことを示唆しています。今後のフェーズにおいて、業界にもたらされるであろうイノベーションや資金決済分野以外も含めた金融取引、クロスボーダー取引にブロックチェーンがもたらす可能性の大きさを明らかにできたことに、大変な喜びを感じています」