重宝される外国人労働者、デフレ脱却を妨げている?
日本の労働市場は記録的な売り手市場で推移している。そんな中、人手不足を補っているのが外国人労働者だ。日本人がやりたがらないような時給の低い仕事でも、彼らが穴を埋めてくれているという。また、海外進出を視野に入れた日本企業にとっては、日本で働いてくれた留学生たちが帰国後に、自社の海外展開の足がかりになってくれる、という期待もあるようだ。ただし、いいことずくめというわけではない。外国人労働者が平均賃金を下げており、デフレからの脱却がなかなかできないと指摘する声もある。
◆人手不足を支える戦力、中には「青田買い」まで
総務省統計局が発表したデータによると、日本の労働市場は8月の時点で、就業者数が56ヶ月連続で増加し、一方完全失業者数は87ヶ月連続で減少した。完全失業率は2.8%という低水準を記録している。
フィリピンの放送局ABS-CBNは、日本では慢性的な人手不足を解消しようと、日本企業が外国人留学生を「潜在的な労働力」として狙いをつけ、積極的な採用活動を行なっている、と報じている。同局によると、東南アジア諸国連合(ASEAN)からの人材の採用を主に支援しているNode Inc.がセミナーを開催。セミナーには、ASEANからの留学生を採用したい企業7社と、ASEANからの留学生30人が参加した(Node Inc.のサイトによると参加学生は31人)。セミナーに参加した企業の人事担当者は、「東南アジアに進出する際に、当社のパートナーとなってくれるような人材を探している」と語っていたという。
一方でウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、コンビニ・チェーンのローソンが、ベトナムの研修センターで来日前の人たちに挨拶の仕方やレジの使い方を教えていると伝えている。日本に到着して職探しを始める前に、取り込んでしまおうという考えらしい。かつてバブル時代に新卒者を相手に行われた「青田買い」を彷彿とさせる。一方でファミリー・マートでは、日本の語学学校で留学生を対象に採用活動を行っているという。
外国人留学生の存在は、人手不足の緩和だけにとどまらない。がってん寿司の運営会社RDCの採用担当者はWSJに対し、外国人労働者のおかげで人件費が抑えられており、また、外国人観光客が来店した際に、自国の言葉で対応してもらえるので助かっていると語った。さらに、将来的に留学生が帰国しても、同社で働き続けて海外進出の力になってほしいと願っているとも加えた。
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