中国バブル、いよいよ日本に似てきた? 英米経済紙「大崩壊はなくとも……」

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 過去数年にわたって中国でバブル崩壊があるのではないか、という声が定期的に上がっているが、その都度、崩壊をしのいできた中国政府。しかし、ここにきて5月、米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは、中国の信用格付けを引き下げた。約30年ぶりのことだ。これで中国の格付けは日本とおなじ「A1」となっており、80年代~90年代の日本のバブル、そしてその崩壊の時の状況にいよいよ似てきたと言われている。

◆中国は日本と同じ運命をたどるのか?
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙の編集部は、オピニオン・社説として現在の中国と80年代バブル期の日本との類似点を挙げている。中国の民間企業による一連の海外大型買収の様子が、日本の企業が海外の著名施設を驚くほどの金額で買収し、のちに巨額の負債を計上した〝歴史“に類似しているという。

 しかし、異なるところは中国政府が、国内大手行に働きかけて融資をストップさせ、国内民間企業のそのような動きに対して水を差したことだ。同紙は、「しかし、これで(バブル崩壊の)危険が回避されたわけではない」として、中国は日本と同様の道を辿らないかも知れないが、共鳴(エコー)していると締めくくっている。

 また、フィナンシャル・タイムズ紙はもっと具体的な例を挙げて2国を比べている。同紙もまた、ウォール・ストリート・ジャーナル紙と同じく、中国は日本のバブル崩壊の例に学び急な経済破綻は避けられるが、ゆくゆくは似た状況に陥るだろうとしている。つまり、緩やかな不況、長期停滞が続くのではないかとみているのだ。

Text by 西尾裕美