今後2年間成長続く? 10~12月GDP伸び悩むも、エコノミストは楽観視
16日の朝、2014年10-12月期のGDPの速報値が発表され、年率換算で2.2%増と、3期ぶりのプラスに転じたことが分かった。海外メディアは、日本がかろうじてリセッション(景気後退)から抜け出したと報じている。
◆不景気脱出も経済は弱いまま
ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)とロイターは、発表された数字はそれぞれが予測したものと比較して、低かったことを強調。「ぬるい拡大」、「パッとしないデータ」(WSJ)、「地味な成長」、「弱い回復」(ロイター)という表現を用いて、安倍首相が日本を成長軌道に乗せるうえで、高いハードルに直面していることを物語っていると報じた。
ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)も、成長への回帰は、専門家の予測より固くはなかったとし、日本経済が弱いままと言う懸念の払しょくは、うまくいかないかもしれないと述べている。
◆個人消費と設備投資は低迷
ロイターは、速報値の発表後、甘利経産相が、「消費者心理が改善され、経済は回復の軌道に乗っている」と述べたと報道。しかし、アナリストの多くは、個人消費と企業の設備投資の回復の弱さを懸念していると述べる。
経済の60%を占める個人消費は、10-12月期では0.3%増で、市場予測の中央値0.7%を下回った(ロイター)。ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、4月の消費増税は、政府やエコノミストが想像した以上に消費者を直撃したと説明。賃金はいまだに増えず、多くの労働者が置いてきぼりにされたと感じていると指摘する。WSJも、日本では昨年12月までの18か月連続で、物価より賃金の上昇が低くなっていると述べ、賃金アップが個人消費の鍵であるとする。
設備投資も、0.1%増という低い伸びで、日銀のアグレッシブな紙幣増刷でも、いまだに企業の投資を増やすことはできないとロイターは述べる。農林中金総合研究所の南武志チーフ・エコノミストも「状況は弱いまま。企業は明らかに投資を見合わせている」と、コメントしている。
◆今年はゆっくり成長?
WSJは、10-12月期の成長を助けたのは、0.2%増となった輸出だと述べ、アメリカの強い需要に応えて、日本企業の輸出は拡大したと指摘する。NYTは、円安が進んだことも、海外市場で製品を売る製造業への追い風になったと説明。結果として株式市場は上向きとなり、企業利益は記録的な高さになったと述べている。
多くのエコノミストが、この緩やかなペースの経済の伸びは、2015年も続くだろうと予測。日本経済研究センターが2月に行った41人のエコノミストへの調査によれば、少なくとも次の9四半期は成長が見込めるということだ。そうなれば、1980年代以来、最長の経済拡大を記録することになる(WSJ)。
NYTも、原油安、輸出需要の高まり、円安による観光客の増加、消費増税延期が景気回復に貢献すると説明。同紙によれば、今年はアベノミクスにとって、より寛容な年になりそうだとエコノミストの多くは予測しており、日本経済は緩やかだがポジティブな傾向で落ち着き、今年と来年は、1.5%から2%ぐらいの成長が期待できるということだ。