“原油安でデフレ脱却難しく” 日銀強気も海外紙は悲観的 追加金融緩和あるか?

 総務省は26日、11月の全国消費者物価指数を発表した。生鮮食品を除く指数が103.4と前年同月比で2.7%上昇したが、前年比の上昇率は3.3%だった7月から4カ月連続で縮小した。4月の消費税率引き上げ分を除いた上昇率は前年比で0.7%となった。

 2015年4月までにインフレ率2%を目標に掲げる日銀だが、種々の指標からすると、インフレ上昇の見込みはないようだ、とフィナンシャル・タイムズ(FT)は指摘する。

◆デフレ脱却の望み遠のく
 日銀が16日に発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の物価見通しは、概ね10月よりも低下している。

 10年最長期国債利回り(長期金利)は26日、0.3%と過去最低を記録し、インフレ連動10年国債は、2013年10月の発行以来最低のレベルで取引された。

 SMBCフレンド証券の松野利彦チーフストラテジストは「日本がデフレ脱却できると信じる投資家は少ない」と語った、とFTは報道している。

◆原油価格下落は追い風?
 原油下落で物価上昇圧力が弱まり、低インフレが続くと予想されているが、日銀には強気の見方もある。黒田日銀総裁は25日、経団連で講演し、原油下落は「短期的に下押し要因となる一方で、やや長い目でみれば、需給ギャップの改善をもたらし、物価の基調的な上昇につながる」と語った、とウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は報道している。

 一方で、そういった変化が生じるためには、消費停滞に悩む日本では特に時間が必要、とエコノミスト達は懐疑的である。原油コストの下落はしばらくの間、単にインフレ率を押し下げるに過ぎない、と同紙は分析している。

◆追加金融緩和はいつ?
 原油価格の大幅な下落に注目し、デフレ心理の転換が遅れるリスクがあるとして、10月の金融緩和を決定した日銀だが、再度緩和に踏み切るのではとの予想が高まっている。

 日興証券のチーフエコノミストである牧野潤一氏は「米国の雇用統計と原油価格次第だが、日銀は早ければ1月にも電撃的な追加緩和に踏み込む可能性がある」と述べた、WSJは報道している。

 一方で、ブルームバーグによると、黒田総裁が原油安は長期的にはインフレを押し上げると発言したことから、追加緩和はまだ先だろう、と大和証券のエコノミスト野口麻衣子氏は予想している。

 デフレ脱却を公約する安倍政権は、3兆5千億円規模の経済対策を実施する予定である。

Text by NewSphere 編集部