“日本は投資家も草食化?”と米紙 リスクを避けてコツコツ資産を増やすスタイルに注目

 財務省によると、7月6日の週に日本人投資家は、海外中長期債を6715億円買い越したという。前週は2841億円の売り越しだった。

【ドイツ国債を売って、フランス国債を買う】
 ブルームバーグによると、日本人投資家は年初から5カ月連続で累計4兆3600億円のドイツ債券を売り越している。一方、5月に日本人投資家は1兆8600億円のフランス債券を買い越したという。

 同紙はモルガン・スタンレーのアジア通貨・金利戦略責任者の見方を伝えている。

「日本人投資家は常に利回りを求める。ドイツとフランスのリスクが同じなら、フランス国債へと流れるだろう」

【日本の投資家は草食化?】
 このように少しでも有利な投資先を目指して、ダイナミックな動きを見せる日本の投資家だが、一方では草食化が懸念されている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は日本の債券投資家の考え方を次のようにまとめている。

「我々は数年来、草食的信条に従って来た。日本国債を多く買って、低収益・低成長に10年以上甘んじた。高リターンの投資先をアグレッシブにハントするより、ゆっくりコツコツ資産を増やす「草食系」投資だ。グローバル債の利回りとボラタリティーの低下で、海外投資家も我々に学ぶのではないか」

 日本の草食性債券投資家は、おいそれとは肉に食いつかない、とウォール紙は述べる。日本政府も日銀も、経済成長の実現に成功していないからだ。三井住友信託銀行の債券部門の責任者はこう述べる。

「世界中の中央銀行や政府は将来の需要を、金融緩和と景気刺激策を用いて先食いしてるだけ。止めたらまた成長率が下がると知っている」

【ステルス投資家も】
 アジア圏のスタートアップ情報を発信している『Tech in Asia』は、草食系とは一味違う、日本の「ステルス投資家」を紹介している。記事によると、独立系ベンチャーキャピタリストである佐俣アンリ氏は今月、新ファンドを始動させた。

 佐俣氏はこれまでにも、コイニー、クラウドワークス、ラクスル等に投資してきたが、投資先を一部しか公開していなかった。公式サイトもほぼ何もなく、上記の新ファンドについてもプレス発表があった訳ではなく、『Tech in Asia』はTechCrunch JPの記事で知ったのだという。ステルス投資家と呼ばれる所以である。

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Text by NewSphere 編集部