消費者物価32年ぶり上昇もインフレは減速… 海外メディア“日銀の読み通り”
27日、総務省が公表した5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除いたコアCPI )は103.4と前年同月比で3.4%上昇した。1982年4月(同3.5%)以来の伸びである。
海外各メディアは日本の消費者物価が32年ぶりに上昇したと報じている。
【消費税による押し上げ分を除くとインフレは鈍化】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、実際には日本のインフレが5月はわずかに減速したが、これは日銀の読み通りだと述べる。
消費増税は全国コアCPIを4月は1.7ポイント、その後フル転嫁されれば2.0ポイント押し上げると日銀は試算していたが、こうした押し上げ分を除くと、5月は1.4%上昇となり、4月(1.5%上昇)を小幅ながら下回ったのだ。インフレの鈍化は2013年9月以来初めてであるという。
日銀の黒田総裁は23日の講演で、エネルギーを中心とした輸入物価の押し上げ効果が減少するため当面は1%台前半で推移し、「これから夏場に向けては、前年比プラス幅がいったん1%近傍まで縮小するとみられる」と述べたと同紙は紹介している。
なお、総務省が27日発表した5月の家計消費支出も前年同月比8%もの減少だったと同紙は報じている。
【サラリーマンの小遣いにもアベノミクスの恩恵なし】
ブルームバーグは、新生銀行 が26日に発表した「2014年サラリーマンのお小遣い調査」によって、アベノミクスの恩恵がサラリーマンの財布には届いていないことが浮き彫りになったと述べる。
同調査によると、平均小遣いは月額3万9572円と前年比で2.9%増えたものの、2008年の4万5825円には及ばず、金額も1979年の調査開始以来4番目に低かった。
昼食代は前年比23円増の541円で、500円玉(ワンコイン)に消費税8%を上乗せした水準。
1回の飲み代は9円増の3483円、1カ月の飲み代は770円増の8459円で、2年連続の上昇。1カ月二飲みに行く回数は0.2回増えて2.4回だったという。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林主任研究員はこの調査結果について、「消費税増税分は小遣いを上げてもよいが、それ以上は難しいということ。実態は据え置き。消費税が上がる中で、賃金はそこまで上がっておらず、実質賃金は明らかに下がっている」と分析している。
ブルームバーグは「日銀通り」にある、ワンコイン定食を提供している中華料理店主の言葉を紹介している。
「このあたりでは、500円ランチの注文が増えている」
厚労省が3日に発表した「毎月勤労統計調査」の4月分結果速報でも、定期給与から、残業などの時間外給を除いた「所定内給与」が前年同月比で0.2%減と 23 カ月連続の減少となったことも、ブルームバーグは報じている。
NewSphere編集部 |