ノーベル賞経済学者「スウェーデンは日本になってしまった」 欧米諸国は日本を反面教師として学べ
欧米諸国がデフレスパイラルに陥る危険が懸念されており、「次の日本となる」可能性が指摘されている。
デフレの危機が論じられる際に、日本経済が度々引合いに出される。その背景には何があるのか。
【脆弱な金融部門と人口の高齢化】
特に、EU諸国の陥っている状態が1990年代の日本と似ている、と4月29日付のフォーブス誌は指摘している。EU諸国は、2008年のリーマンショック以来金融部門が脆弱化し、人口の高齢化と出産率の減少といった問題にも直面している。大量の不良債権にあえぐ金融部門、人口高齢化と出産率低下等の問題を抱えていた1990年代の日本と重なる。
デフレに悩まされた日本と同じく、EUのインフレ率は5年間で最低の0.5%に下落し、ECBの目標率2%を大きく下回っている。
【積極財政に及び腰】
金融政策の失敗も相似点として挙げられる。ノーベル賞経済学賞受賞者である米プリンストン大学のポール・クルーグマン教授は、4月20日付のニューヨーク・タイムズ紙のコラムで、スウェーデンが「日本になってしまった」と述べた。
2010年当時、経済危機に対処する模範として仰がれていたスウェーデンは、先進国の中でも非常に好調な景気に浴していた。しかし、高失業率と低インフレ率にもかかわらず、中央銀行は金利の引き締めを決定した。金利上昇後まもなく、スウェーデンの失業率は悪化し始め、デフレも始まった。
1990年の不景気の際、日本の政策は、小さすぎ、遅すぎ、一貫性が無さ過ぎたため、デフレが長引いた、とクルーグマン教授はニューヨーク・タイムズ紙の別のコラムで指摘している。経済回復のスターだったスウェーデンも、拙い政策の結果、日本になってしまったのだ。
【「日本とは違う」】
クルーグマン教授のコラムに対して、スウェーデン中央銀行当局者は、4月28日付の同紙の別の記事を通じて反論した。スウェーデンは不景気ではなく、雇用も増加している。2013年、スウェーデンの国内総生産は1.5%の成長を記録した(第四半期は3.1%の増加)。低インフレではあるが、「日本のように世帯が消費を後回しにする兆候はない」と主張した。
デフレ型不況の反面教師となってきた日本だが、アベノミクスの旗印の下、積極財政にシフトし、インフレ率の上昇も見られている。デフレから脱却し経済回復に成功するなら、日本は世界各国のロールモデルになれるかもしれない。
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