日本に雇用改革求めるIMF、自身の改革は頓挫

 G20財務相・中央銀行総裁会議が11日、国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季総会が11~13日、ともにワシントンで開催された。G20は「今後もより強くより良い成長を促進するために協力すると宣言し」、IMFのラガルド専務理事は「グローバル政策アジェンダの非常に強い裏付け」により、成長を楽観視していると報じられた。ただ、各紙は問題山積ぶりを指摘する。

【改革案策定ならず、ゲーム・オーバー】
 ロイターは、新興市場の発言力強化や金融機関の強化などを狙ったIMF改革が、頓挫していることに焦点を当てた。2010年に提案された改革案は、アメリカがいまだに批准しておらず、G20はこれに「深く失望した」と声明、今年中に批准されなければアメリカ抜きで話を進めると宣言した。

 ルー米財務長官は、オバマ政権は法案通過に「最善を尽くす」と述べている。だがロイターは、「米政府が大きな財政赤字を抱えている時にこの改革は費用がかかり過ぎる」との共和党の批判を挙げ、懐疑的である。

 またIMFの意思決定構造上、アメリカ抜きで改革案を決定することも現実的ではなく、「今のところプランBはない」という。あるG20関係者は「デッドエンド(ゲームオーバー)」と嘆いた、と報じられている。

 フィナンシャル・タイムズ紙も、改革が進展しないことで「基金が世界経済と関わりのない、無関係組織であるように見せてしまう」と警告する。そして各国とも、協力という建前だけには署名しても、具体的政策となると自国の都合しか考えないと、厳しく批判した。IMF会合の「どの主要参加者も、自分たちが国家的要請を抱えており、国際社会や脆弱な新興国を喜ばせるためにこれらを曲げるつもりはないと主張した」という。

 過去、2006年のIMF多国間協議プログラムや、2009年のG20ピッツバーグ枠組みなどの協力方針も、「時間の経過とともに失速した」と同紙は懸念する。

【真剣に検討されるマイナス金利】
 G20は2月、世界GDP成長率を5年で2%上げる目標を立てており、今回もその達成に向け努力を謳っている。しかし、フィナンシャル紙などは、そもそも達成できたかどうかの判定さえ難しいと指摘する。

 またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ウクライナ情勢をめぐる制裁合戦が金融危機につながる可能性や、ヨーロッパで特に顕著な「消費を脅かし債務削減を阻む」低インフレが、IMF会合で懸念されたと報じた。

 ユーロ圏は年間インフレ率が0.5%と低く、国によってはマイナスである。欧州中央銀行(ECB)は2%弱のインフレ目標を掲げている。しかし同紙によれば、ECBはその対処にあたり「米連邦準備制度理事会や他の主要中央銀行ほど積極的ではなかった」。ECBでは現在、金融緩和の一環として、オーバーナイト預金のマイナス金利措置が真剣に検討されているという。

 マイナス金利策には過去、懸念も報じられているが、ノヴォトニー墺中銀総裁は、実際以上に心理的な効果があると期待感を表明した。ノヴォトニー総裁は、新しいインフレ見通しが得られる6月が、最適な検討のタイミングだと示唆している。

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Text by NewSphere 編集部