ラガルド氏、日本に“女性の雇用改革”を求める アベノミクス成長戦略への期待大
IMFのラガルド専務理事は、IMF・世界銀行の春季会合を前にした10日、報道陣に対してブリーフィングを行った。
【アベノミクスに関して】
ニュースサイト『USポリティクス・トゥデイ』に公開されている議事録によれば、ラガルド氏は日本経済に関して以下のように述べたという。
・第1の矢(大胆な金融政策)が機能し始めた。8%への消費税率引き上げが実現し、とても喜んでいる
・第2の矢(機動的な財政出動)については、中期の財政計画が明確に示されることを期待する
・第3の矢(民間投資を喚起する成長戦略)では、多くの構造改革について触れられているものの、完全な形では明示されていない。今回の会合では今後の計画なども含めて話し合いたい
ラガルド氏は、日本の経済改革の現状について、春季会合の間に麻生財務相と協議を行う予定。「日本の女性の労働市場へのアクセス促進を図る改革を中心に意見を交わすことになるだろう」と述べた。
AFPは、安倍首相がアベノミクス第3の矢である成長戦略の中核として、「女性の活躍」を掲げていることにふれている。ラガルド氏も、構造改革における極めて重要な要素と考えているようだ。
【世界経済に関して】
またラガルド氏は、「世界経済は危機を脱しつつあるが、回復はあまりに弱くあまりに遅い」と述べた。大胆な政策措置が不可欠だとして、乗り越えるべき3つのハードルを挙げている。
1つ目は、先進国における低インフレの長期化である。特にユーロ圏で顕著であり、成長と雇用の両方を阻害することを懸念する。このような中、欧州中央銀行(ECB)が、必要に応じて非伝統的措置をとることに改めてコミットしたことは、心強い。
2つ目は、現在の低成長である。先進国では、財政調整と金融の正常化を正しく適切に行わねばならない。タイミング、コミュニケーションなどの面においてもそうである。
3つ目は、今後も低成長が続く可能性である。標準以下の成長が持続する可能性を回避し、国際金融の安定性を確保するためには、大胆かつ一貫した政策が必要である。
【反論】
これに答えて、貧困と不正を根絶するための活動を展開している団体であるオックスファムは、IMFはもう1つの問題である不均衡にも対処する必要があると述べた、と豪公共放送局(SBS)は報じている。
「成長と不平等とは、(一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという)トレードオフの関係にあるわけではない。不均衡が制御されないままでは、経済の全体としての成長はない」