大規模な消費増税対応は日本だけ? 西友“まとめ買いキャンペーン”など海外紙評価
増税前の買いだめラッシュ。値札の一斉切り替え。その後の需要に関する不安。各紙は、消費税切り替えに伴う混乱について報じている。
【明日来れないアスクル】
買いだめラッシュに焦点を当てたのはニューヨーク・タイムズ紙だ。翌日配達のモットーをその名に冠したはずの事務用品通販・アスクルは、注文殺到により配送まで1週間待ちの状態となり、また4月以降は低価格帯商品が主力になると見て在庫を調整している。一部のデパートは31日夜の営業を延長し、ガソリンスタンドには深夜に給油の列ができた。
スーパーの西友は、レッドブル3ヶ月分(90本)、ガム1年分(11,000個)、プラスチックラップ3年分(60ロール)など、冷静に見れば信じがたいラインナップの買いだめキャンペーンを展開した。同紙は「増税を活用」と表現している。
【麻生財相、ゴルゴとクリスタルガイザーを悠然購入】
31日から1日にかけて、値札やコンピューターシステムの一斉切り替えも難題であった。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、これほど厳密に、あらゆる商店が一晩で一気に切り替えを試みるのは、日本に特有の現象らしい。しかし西友は、一部の店舗でシステム調整に手間取り、1日の営業時間が2時間遅れるなどした。同じくスーパーの「いなげや」は、136店舗の約半数が、午後になってもまだ開店できていなかったという。
同紙は麻生財相が、漫画通・アメリカ物好みとの評判通り、コンビニでビッグコミック「ゴルゴ13」特集とクリスタルガイザーを購入し、レシートが正しく税率8%で計算されていることに「安心した」と述べた、と報じた。また麻生財相は定例記者会見で、「景気回復への勢いは維持されなければなりません。10%への次の増税が、予定通り実施できるように」と強調したという。どこか他人事であるようにも受け取れる描写である。ただし同紙は、この「広報運動」の背後には、前回増税後のようなゆるやかな厄災が起こるか確認するという、大きな目的があったとも書いている。
【増税後の消費減退は覚悟】
フィナンシャル・タイムズ紙は、最新の日銀短観で大手小売業者の6月の景況予測(良いと予測した割合から悪いと予測した割合を減じた差)がマイナス5で、3月についての予測から29ポイント悪化したと報じた。中規模業者ではさらに極端で41ポイント悪化、小規模業者では36ポイント悪化であった。これらは予想より悪い数字であるという。
一方、「円安効果の恩恵を受けている」大規模製造業は、3月より9ポイント悪化したがプラス8程度であり、サービス部門は「小売部門の悪化にもかかわらず、それよりも5ポイント以上強気だった」と報じられている。
また、新年度の設備投資計画は4.2%減で、昨年の5.2%増から大幅悪化であるが、同紙は年度頭の短観調査では投資計画が過小申告されがちだと注記している。専門家らによると、日銀がただちに追加緩和を決断するほど悪い数字でもないという。
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