韓国とFTA締結したカナダ、日本とのEPA交渉に期待 “自動車輸出したい日本はのってくる”との声も
11日カナダと韓国の自由貿易協定(FTA)が締結されたことを受けて、カナダメディアは日本とカナダとの経済連携協定(EPA)交渉に注目している。カナダのエド・ファスト国際貿易大臣は現地時間18日、世界第三位の経済大国である日本との5回目の交渉が始まることを発表した。韓国との交渉妥結が、日本との交渉の後押しになったとしている。
【韓国とのFTA締結交渉合意】
ブルームバーグによると、かねてからカナダのハーパー首相は輸出先を米国以外に分散する必要性を強調してきた。カナダにとって韓国とのFTA締結は、アジア地域の国とは初めてとなる。すでに韓国とFTAを締結している米国や欧州連合(EU)との、公平な競争が可能になると、カナダ当局者は分析しているという。
カナダ国際貿易省によると、2012年の韓国向け輸出は37億カナダドル(約3,370億円)、韓国からの輸入は64億カナダドル(約5,830億円)。しかし、2012年3月に米韓のFTAが発効以降は減少傾向にあった。両国間のFTA交渉は2005年に開始したが、自動車輸出や韓国によるカナダ産牛肉の輸入解禁などをめぐる対立から停滞していた。
合意内容に詳しいカナダ当局者によると、FTA全面実施でカナダの韓国向け輸出は3割増、年間の経済生産を17億カナダドル(約1,550億円)押し上げる試算になる、としている。またロイターは、韓国は20%の増加を見込んでいる、と報じている。今後韓国側の関税98.2%、カナダ側の関税97.8%が段階的に撤廃されることになる。
【カナダとのEPA締結合意に向けた日本の動き】
日本とカナダは現在、EPA交渉を行っている。外務省ホームページによると、EPAとは貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素等を含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定、とある。日本は当初から、より幅広い分野を含むEPAを推進している。
カナダのグローブ・アンド・メール紙は、日本はカナダにとって第4の輸出市場で、2013年の総出荷数は107億ドル(約1兆1千億円)に上ったと報じている。日本は、カナダにおいてアジア最大の投資国でもある。カナダ政府は、日本とカナダ間の協定締結によって、カナダの経済を年間38億ドル(約3,890億円)押し上げ、輸出量を67%上昇させるという共同研究の結果を発表した。
同紙によると、日本は韓国と自動車部門で競合し、カナダでの6.1%の自動車関税を撤廃する方法を考えており、カナダとの交渉に積極的に臨むのではないかという見方が、アナリストの間で出ているという。
【カナダ・韓国FTA締結による自動車メーカーへの影響】
ロイターの報道によると、カナダ国内の米フォードを始めとする外国自動車メーカーのなかで、関税の撤廃により韓国産自動車の輸入が大きく増加することを懸念する見方があるという。
一方で、当初韓国とのFTAに反対していたカナダ国内の日本自動車メーカーは、カナダと日本のFTAにつながる可能性を見越し、同様の待遇を求めることで態度を軟化しているという。
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