若者の5人に1人がニートの国も… 世界の失業者、初の2億人超え
2014年版ILO年次報告書によると、世界経済の回復が脆弱なため、世界的に労働市場の改善につながっておらず、2013年の失業者は世界で500万人増大し、2億200万人に達した(失業率6%)。この傾向は今後数年続き、2018年には2億1500万人が職を求めることになる見通しである。
【労働市場の現状は】
ILO年次報告では、「多くの部門で業績は上向いているが、それは実体経済ではなく主に資産市場に向けられ、長期的な雇用はダメージを受けたままである。つまり経済の回復が雇用の創出につながっていない」と現状を分析している。
英テレグラフ紙は、先進国では歳出カットや増税がビジネス・家計に重くのしかかっているとし、金融政策と財政政策の調整不足を原因のひとつとして挙げている。失業期間も長期化しており、スペイン、ギリシャでは、金融危機以前に比べ失業期間が2倍となっているとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。
【若者の失業率の世界的傾向は】
特に若者を取り巻く雇用情勢は厳しい。各紙は、15歳―24歳の若者の失業率の高さを強調している(13%)。この数字は、全労働者の失業率の2倍、成人の失業率の3倍に達しているという。
ガーディアン紙によると、若者のニートの数が増大しており、スペイン、アイルランドでは若者の5人に1人がニートだという
ガイ・ライダーILO事務局長は、「若者が失業問題の最前線にいる。この事態は社会の安定を脅かす」、「政策の見直しが必要だ。雇用創出を急ぎ、雇用を生み出す企業の支援をすべき」と各紙に語っている。
【その他の論点:地域別の雇用情勢】
なお地域別の雇用情勢は、米国・英国は失業率が改善したが、その他のヨーロッパ諸国、北アフリカ、中東諸国は依然として高いと報じられている。
またワーキングプア(日1.25ドル以下で生活する労働者)は減少傾向にあるが、そのペースは落ちているとも報じられている。