2014年、アベノミクスを襲う3つの試練とは 海外紙が警告
2013年、アベノミクス政策は日本の株価を1.5倍以上に押し上げて注目を集めた。ザ・ディプロマットは、結局アベノミクスとは名目成長率を上げて需要を成長させ、巨大な公的債務を水に流し、外国人投資家を呼び込もうとするものであった、と総括している。
だが同誌は、2014年こそは試練の年だと予言する。消費税増税が消費の勢いを削ぐのは確実で、さらに中国との緊張増大で日中貿易が低迷すれば、中国に比べ日本のほうが重大な経済的影響を受けるという。日銀の金融政策に対して「流動性の罠」を警告するメディアもある。
【泡ノミクスかアホノミクスか、果てはアベゲドンか】
香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙は、賃金増などの実体改善につながっていないことから「泡ノミクス」、自己矛盾の末自滅するとの見方から「アホノミクス」といった風刺があることを伝えている。
同紙が伝えるブルームバーグのエコノミスト調査によると、日本の労働者の現金収入は4月からの1年に0.6%上昇、それに対し消費者物価は消費税増税で3%上昇が予想されている。一方で大企業は賃上げなどしなくても政府支出、減税、円安誘導、株価上昇による資産バブル、と大盤振る舞いを受けている。そして金融緩和・財政刺激とセットで行われなければならない「第3の矢」構造改革は、既得権益層の抵抗で遅々として進まない。結局これは、一般家計から大企業への再配分政策なのだという。
さらに、安倍首相は「発作的な傲慢とナショナリスト熱を出して」、「アベゲドン」のリスクを招いたと評されている。経済に集中するはずだった首相がこの数週間、特定秘密保護法の強行採決、新防衛計画、愛国教育計画、靖国神社参拝と、一つではなく複数のナショナリスト措置を打ち出していることは、「政治的な策略ではなく安倍の本物の声を示している」。これらは首相のナショナリズム地盤を満足させるよりも勢いに乗せる可能性が高く、日本の全貿易の20%を占める中国との緊張が増大することは、極めて危険だとのことだ。
【「戻ってくる」のは日本ではなく流動性の罠】
ライブ・トレーディング・ニュースは、日銀の通貨供給策に対して「流動性の罠」を警告している。流動性の罠は、ゼロ金利状態において債券の価値が薄まり、現金溜め込み需要へ移行することで、通貨供給を幾ら増やしても金利が下がらなくなり、金融政策が無力化するとされる現象だ。
日本のマネタリーベースは1年間で45%増加し、年末時点で日銀の目標200兆円を超える201.8兆円となった。2014年の肥大化した日本経済は「安倍を逆襲すべく戻ってくる」、と記事は警告する。著者によれば日本は、首相の人気欲しさのあまり短期間に多くをやり過ぎたのであり、長期的には得より害が大きいという。