日本へ投資のヘッジファンド、世界最高益 海外のアベノミクス評価も金融面に集中
安倍晋三首相は就任後、自身の経済政策「アベノミクス」の基本方針である「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」を3本の矢に例え推し進めてきた。
これに基づき、安倍首相に指名された黒田東彦日銀総裁は4月、前代未聞の金融緩和策を打ち出した。約2年間のうちにインフレ率を2%に引き上げるため、国債や金融資産を買い進めマネタリーベース(通貨の供給量)を倍増させると発表したのだ。
政府が24日に発表した月例経済報告では、ここ4年間で初めてデフレという言葉が消えた。
【第一の矢、第二の矢】
多くのエコノミストは、安倍政権によるこれまでの財政と金融の政策を評価しているようだ。
2013年の日本へのヘッジファンド運用結果は、2012年の世界最悪の状態から一転、過去最高を記録し世界の中でも最高益となった、とブルームバーグが報じている。エコノミストは、「日本は多くの投資家にとって、これまでとは正反対の環境となった」、「投資家たちは日本企業への投資は利益を生まないと考えてきたが、それは明らかに間違っていた。彼らは一度日本を見放したが、アベノミクスにより、再び戻ってきた」と話している。また同メディアは、「投資家たちの関心は、アベノミクスにより日本企業が世界的な企業として成長したことだ」、「日本全体への興味の高まりで、より小さな企業も注目を集めることになった。これは、概して良いことだと言えるだろう」との評価も取り上げた。
ザ・ウィークは、インフレ率は日銀の目標である2%をいまだ下回っているものの、日本経済は2013年はじめのような深刻なデフレからは脱却したとみているようだ。まだ成長に力強さはないが、2014年にさらなる成長が見込まれるとしている。
シンガポールのニュース専門チャンネル、チャンネル・ニュース・アジアは、アベノミクスは、緩やかな変化を作り出すことはできるだろうと評している。アベノミクスは、円安にも寄与しており、特に金融面での効果が大きく「よくやったと言える」との評価を取り上げている。
【構造改革実行には懐疑的】
金融緩和と財政出動の効果は、現れ始めている。しかし、今後の政策実行は不確かだとザ・ウィークは懸念している。同メディアは構造改革について、日本の雇用市場は規制が多いことで有名で労働者の解雇は難しい現状を報じている。また、企業が余剰人員と経費の増加のため、若者の雇用や給料の値上げをしたがらないが、このため賃金が上がらず、デフレが続く要因のひとつになったと指摘している。
同メディアは、安倍首相の長期的な改革が成功するかは予測できないとし、アベノミクスはよいスタートを切ったが、難しいのはこれからだとみている。
チャンネル・ニュース・アジアは、「第三の矢」の成功については、いくぶん疑問だと報じている。法人税、雇用市場、その他の改革が必要だが、政府はまだ構造改革についての内容を明確にできていないという指摘も取り上げている。