なぜ日本経済は減速したか 海外紙は企業の人件費・設備投資が課題と指摘
内閣府が14日に発表した速報値によると、第3四半期の日本のGDP成長率は年率1.9%で、前四半期の3.8%から減速した。国内の個人消費が第1、第2四半期の平均2.8%成長から0.4%成長へと大きく衰えたことが、特に響いた。
また、円安傾向にも関わらず、輸出2.4%減に対して輸入9.2%増となった。
【投資しようにも供給過剰の日本企業】
甘利経済再生相は、「株価上昇の一段落が消費者心理を傷つけたように見えます」と述べたが、各紙は企業が人件費や設備投資を増やさないことが主因だと指摘している。ニューヨーク・タイムズ紙によると、政府支出と並ぶ成長への最大の貢献者は、皮肉にも民間の棚卸資産(在庫)だったという。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、日本の月平均賃金は1997年以来18%下落、労働力の3分の1は低賃金・不安定な非正規労働者で、所得格差を示すジニ係数は2011年に過去最高水準に達した、と報じている。消費者信頼感指数は今週、安倍首相の就任時とほぼ同じレベルまで戻ってしまった。
【日本人はiPhone買い過ぎ?】
輸入の増加については、福島原発事故以来の原子炉停止に伴うエネルギー輸入コスト増が指摘されている。一方、新型iPhone 5Sを筆頭としたスマートフォンの輸入急増を指摘する声もある。
またフィナンシャル・タイムズ紙は、円高で輸出業者の売上換算値は伸びているが、実際の輸出量を増やす役には立っていないと指摘する。特に欧州や中国の成長が低迷しているためだという。さらに背景には、メーカーが生産の大部分を海外に移している産業空洞化もあると指摘した。
【消費税が上がってからが本当の試練】
9月の消費支出だけは前年同期比3.7%増となっているが、各紙は来年の消費税増税前の駆け込み需要だと断じている。住宅購入は第3四半期に11%以上増加した。ある専門家の予想では、3月までは成長率は3%を超える。フィナンシャル・タイムズ紙は、アベノミクスの本当の試練は増税後だと述べている。
ニューヨーク・タイムズ紙は、成長の鈍化が、労働市場、農業、薬のインターネット販売など強力な既得権益層が抵抗する分野において、安倍政権が改革への意欲をまだ保っているのか、疑う声につながっていると報じている。