金融資産ゼロ世帯が過去最多、国内外で割れるアベノミクスの評価とは?

 日銀が7日に発表した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、1世帯あたりの平均金融資産額は1101万円で、前年1108万円を下回り3年連続の減少となった。

 日銀によると、金融資産を保有している世帯では、株価上昇などにより資産保有額の平均が上がった。一方、金融資産を保有しない世帯が増えたため、全体的には互いが相殺してほぼ横ばいとなったという。

 金融資産を持たないと回答した世帯比率は31%で、前年比5ポイントの上昇。1963年に金融資産の有無を調査項目に組み込んで以来、最も高くなった。

 国内外ではアベノミクスの影響と共にこの調査結果を報じているが、特に海外からは、政策の真価を問う厳しい論調の記事も見られる。

【ブルームバーグは、アベノミクスの副作用を懸念】
 安倍首相はアベノミクスを語る際に、度々「この道しかない」と確固たる信念を込めている。その道を歩み始めた今、初期段階としてリスク資産を持っている一部の人間が恩恵を受け、そうでない人々はさらに厳しい状況に追い込まれている、と分析するエコノミストの言葉を、ブルームバーグは取り上げている。日本の貧富の収入差は米国の3分の1にとどまるレベルであるとは言え、今後、事態が深刻化し社会が歪んでいく可能性は否めないという。

 今回の調査結果では、「収入が減ったので金融資産を取り崩した」ために金融資産が減少したという回答が、40.9%で最多となった。

 またブルームバーグは、来春の消費税増税を控えた状況で、アベノミクスは企業に対して賃金の引き上げを説得できる政策を打ち出し、国民の信頼を獲得しながら一丸となって経済回復を進めていく必要があると論じている。それができなければ、安倍氏のスピード感のある断固たるリーダーシップも逆効果となり、アベノミクスを大きな失敗へと導いてしまうと指摘している。

【アベノミクスの影響は消費税アップ後に現れる?】
 ブルームバーグがアベノミクスの評価を報じる一方で、国内ではもう少し先を見据えて評価の時を待つ姿勢も垣間見える。

 ハフィントンポスト(日本語版)では、来春から賃金の引き上げを表明する企業も少なくないので、その動きが政策を支えていくだろうと報じている。同紙の読者コメントでも、消費税が上がり、状況が変化する来春以降にこそ、アベノミクスの効力の有無が明確になるだろうとする声も上がっている。

Text by NewSphere 編集部