アベノミクスと五輪の効果? 台湾で日本の不動産購入ラッシュ

 デフレと円高からの脱却、3%以上の経済成長の達成などを目標に掲げたアベノミクス政策が実行されて1年弱。日本国内では時としてマイナス面を強調した報道もなされる中、おとなり台湾では、早くも日本経済回復の兆しありとする報道が多く見られ、投資家たちがこぞって日本の不動産を購入している。

 台湾のニュース番組FOCUS全球新聞では、日本の地価調査の結果を取り上げ、全体的な地価の下落は以前より緩やかになり、東京・大阪・名古屋などの大都市では既に上昇に転じていると報道。今年上半期はアベノミクス効果が現れ、日本経済はすでに回復の道筋をたどっていると、明るい見通しを伝えた。

【加熱する不動産購入ブーム】
 台湾の新聞・自由時報でも、ここ数年の、台湾投資家による、東京を中心とした日本の不動産購入ブームを報じている。ブームの理由は、分譲価格が台北よりも安く、家賃収益がよいことにあると分析。

 2011年~2012年の2年間の合計決済金額は日本円で約136億円だった。それがアベノミクス政策に対する期待からさらに加速し、2013年度は8月までで既に157億円に達し、過去2年分をすでに超えたと報じている。

 アジア圏外国人向け不動産会社、日本信義の統計によると、購入者の8割が貿易関係者、医師、企業家など。中には、一軒買ったついでにもう一軒、という例も少なくないそうだ。また、購入者層の妻たち向けに、観光と物件巡りを兼ねた団体ツアーもあるとのこと。

 日本信義の代表・何氏は、やはりアベノミクスで日本経済が良い方向に向かった結果が、ブームにつながっていると分析。台湾人投資家たちにとって、今がまさに底値で購入できる絶好のチャンスとしている。

【オリンピックを見越して】
 この流れは五輪まで続きそうだ。FOCUS全球新聞は、湾岸地区の高層マンションが、開催決定後に販売価格が上昇したと報道。五輪終了後、分譲マンションとして販売される予定の選手村についても、アクセスが便利になることや、東京の夜景が一望できることなど、不動産の観点から利点を紹介している。

 また番組内で、ある不動産投資家は、今後この勢いが東京郊外や地方の地価上昇にどのように影響するのかを見極めたいと話し、すでに彼らが五輪を見越した投資を考えていることが分かる。

「五輪特需」の波は、日本だけでなく海外からもきているといえる。

Text by NewSphere 編集部