消費増税路線固まる? 五輪とGDP上昇が影響か

 内閣府は9日、第2四半期のGDP成長率を、速報値の年率2.6%増から、3.8%増へと上方修正した。

 発表を受けて、日経平均株価終値は2.5%高の14,205円と、8月6日以来の高値となった。なお、各紙は東京オリンピック開催決定のニュースも関係したと示唆している。

 各紙は、来年4月に8%、再来年10月に10%への、消費税増税の可能性が高まったと報じている。甘利明経済相はこの日、増税決定時期を、日銀短観が発表される10月1日と言明した。

【設備投資上がって消費下がる】
 GDP上方修正の主因は、従来他の指標に比べ回復が遅れていた企業設備投資が0.1%減から1.3%増に上方修正され、6四半期ぶりに増加を記録したことであった。専門家らは、企業は最終的には景況感改善に伴って設備投資を行うのだと確認できた、などと歓迎している。

 銀行貸出も8月までの1年間で2%増加し、4年以上ぶりの急増を記録していた。ただしエネルギーコスト高のため、製造業者には日本国内で投資を増加させる動機が少なく、卸売、医療、サービス業者などが回復を主導していくだろうとみられている。

 一方、これまで回復の牽引役であった消費は、四半期0.8%増から0.7%に下方修正された。消費者信頼感指数は3ヶ月連続で下落し、12月以来の最低水準になった。第3四半期にも消費の冷え込みが予想されているという。

 ロイターは、政府調査ではサービス部門の感情は8月に5ヶ月連続で悪化し、小売業者はさらなる見通し悪化を見ていると報じた。また、消費者はすでに増税を見越して支出を手控えていると示唆している。

【恐れず増税を断行せよ】
 ロイターは回復への増税の悪影響を心配する政府顧問・本田悦朗氏の警告や、甘利経済相が衝撃緩和のため2兆円以上の支出パッケージを準備すると表明しつつも「経済を上昇傾向に返すのには足りません」と発言したことを伝えた。

 一方フィナンシャル・タイムズ紙は、以前の安倍政権の顧問である伊藤隆敏氏の、財政再建のため断固増税すべしとの主張を掲載した。

 伊藤氏は、回復が充分に強固であること、1998年の急激な景気悪化はアジア通貨危機や日本の銀行問題のせいであって1997年4月の増税とは無関係であること、いずれにせよいつか増税は避けられないのだから、今余計な国会審議に手間を取るより構造改革に注力すべきであること、増税を保留すれば市場から弱腰と見られ、株高や円安などのアベノミクス利益が水泡に帰すこと、を主張している。

Text by NewSphere 編集部