「アベノミクス」に暗雲?海外紙が、消費税増税に迷う政府を批判

 12日、第2四半期の日本のGDPが、年率2.6%の成長であったと発表された。3四半期連続の成長であるが、3.6%増との事前予測や、第1四半期の実績3.8%(4.1%の従来発表から下方修正)には及ばなかった。

 各紙はこれが、消費税増税可否の議論に油を注ぐと報じている。

【増税に耐えられるのか】
 すでに世界的に、債務削減などの経済安定化のためには増税や支出削減をするべきなのか、緩和策を取った方がよいのかの議論が強まっている中、日本経済の回復が増税に耐えられるのか、政権顧問やエコノミストらの間でも意見は分かれている。

 政府の最新の中期予測によれば、増税で成長率は1%に下落するとされる。しかしフィナンシャル・タイムズ紙は、民間エコノミストの約3分の1は、それでは済まず景気後退に陥ると考えている、と報じている。またガーディアン紙は、少なくとも2015年になって10%まで増税されれば、「明らかに景気回復を頓挫させるに足る」と断言している。

 一方、増税賛成の意見では、消費が好調にも関わらずGDPの足を引っ張ったのは、持続的回復に不可欠とされる企業投資の6期連続減であるものの、それは来月の数値改訂による再精査で上方修正される可能性が高いという。安倍政権は、その結果を待って増税可否判断を下すと報じられている。

【画餅と疑われるアベノミクス】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、「アベノミクスの副操縦士」である黒田日銀総裁が増税を支持しているのに、政権が増税可否に悩むこと自体、政権への疑念を集めると懸念している。

 またガーディアン紙は、「3本の矢」政策の「あらゆる点に問題が持ち上がっている」と警告する。いわく、円安は輸出業者を助ける一方でエネルギーコスト増にもつながり、消費者の実質所得を食い潰している。日本はインフレ目標を達成しつつあるように見えるが、それは悪いインフレの類である。

 次に、人口高齢化による政策自由度の制約もあって、労働市場の参加率引き上げや農家への補助金削減など、構造改革に対する政府の姿勢が疑われ始めている。

 そして最大の問題が、「現在GDPの240%ある日本の公的債務に、政府がまじめに取り組むつもりであることを市場に示すため」のはずの消費税増税を、悩んでいることだという。同紙はこの躊躇が、「アベノミクスが本質的には煙や鏡に過ぎないという感覚」を助長すると結んでいる。

Text by NewSphere 編集部