期待を下回る日本のGDP 成長のカギは賃金上昇か?
12日、第2四半期の日本のGDPが、年率2.6%の成長であったと発表された。3四半期連続の成長であるが、3.6%増との事前予測や、第1四半期の実績3.8%(4.1%の従来発表から下方修正)には及ばなかった。
市場は6週間ぶり水準の株安・円高となった。
【消費は好調でも、企業投資は渋い】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、衣類、宝石、ブランド品、外食などの好調により、個人消費は第2四半期に0.8%増となった。
政府支出も1.8%増加し、6期連続の拡大となった。
輸出業者は円安でさらに恩恵を受けた。
日興証券によると大手上場企業の純利益は倍増以上し、またある見積もりでは、大企業のボーナスが1991年以来最大の上昇となった。
それにもかかわらず、企業投資は0.1%減であった。専門家によると、これは昨年まだ景況が悪かった時点での支出計画に従っているためだという。すると実際の投資増は来年を待つことになるが、その時点で、米連邦準備制度の量的緩和策の縮小など、米国経済の動向がどうなっているかが関わってくると指摘されている。
またエコノミストらは、円安は家計の日用品価格上昇にも繋がっているため、企業が「ボーナスを上げるだけではなく」賃金も上げなければ、最終的には消費者心理を減衰させると警告しているという。
【国の債務1000兆の大台へ】
各紙は、日本の債務残高が6月末に「quadrillion(1000兆)」円の大台に達したことに触れ、来春から予定されている消費税増税との関連についても報じている。
国際通貨基金(IMF)は、増税断行により債務を削減しないと、信用危機に陥る危険があると警告している。政権顧問やエコノミストらは、経済が確かに回復しているとして増税に賛成する意見と、1997年の3%→5%増税時同様、せっかくの回復の芽を摘んでしまうと反対する意見とで、割れているという。
甘利経済相は、来月に見込まれている増税可否判断にあたり、今回のデータを「良好な数字」と評価したと報じられている。