日本企業の景況感改善!海外紙の評価と課題とは?
1日発表の日銀短観で、4~6月期の大企業・製造業の景況感指数が1~3月期のマイナス8からプラス4に上昇、2四半期連続改善となったことが示された。これは2011年1~3月期以来の高水準で、同年7~9月期以来のプラスとなった。前期比15ポイント増だった2010年4~6月期以来の大幅改善である。
大企業・非製造業でも、プラス6からプラス12への改善となった。
なお、「プラス」は、業況見通しが良いと回答した企業が、悪いと回答した企業を上回ることを意味する。
発表を受け、1日、2日の日経平均株価終値は連日上昇している。
【順風満帆の与党と日銀】
安倍政権の緩和・刺激政策の結果、円は下がり株価は上昇、GDPも先進国中最大の回復を見せていたものの、企業投資が伴っていないとされてきた。
しかし今回の短観では、大企業(全産業)の投資計画が、前回の2.0%減から5.5%増へと改善していた。
物価についても、先週発表の消費者物価指数は、過去6ヶ月間マイナスであったのに対して、5月は横ばいに転じていた。
各紙はこれにより、参院選を目前に安倍政権に追い風が吹くと予想している。
またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、来週会合する日銀政策委員会は、政策が効果を上げていると考え現状の方針を据え置くだろう、との専門家の見方を伝えている。
【投資内容への警告】
しかしフィナンシャル・タイムズ紙は、JFE・NSK(日本精工)・花王といった大手製造業者の例を挙げ、投資増と言っても、重視されているのは海外工場への設備投資だと警告する。
日本国内における投資は、法人税の高さ、労働・環境法令の厳しさ、エネルギーコストなどと言った、大企業の「6重苦」がネックになっているという。
なお安倍首相は、2016年までに国内民間設備投資の10%増を目標に掲げており、「投資への課税を下げ、企業がリスクを負って施設や設備に投資するインセンティブを作ります」と最近語っていた。