日本の輸出額増加は、経済復調の兆し?海外紙が分析
財務省は19日、5月の貿易統計速報を発表した。貿易収支(原数値)は9939億円の赤字となった。これは5月としては過去最大。
輸出は前年同月比10.1%の増加で、5兆7676億円となった。円安傾向も影響したようで、輸出は3ヶ月連続して増加しており、ここ2年で最大の伸び率といえる。
輸入は通信機、原粗油等が増加し、10.0%の増加となった。
貿易統計速報は、安倍政権の経済政策を反映したものなのだろうか。海外各紙が分析している。
【経済復調の兆しか】
フィナンシャル・タイムズ紙は、第一四半期の成長は、前四半期に比べ年率4.1%の伸びであり、先に実施された大規模な財政支出と景気刺激策がすでに効果を表したのだ、と評価している。
しかし、企業はまだ投資を始めていないとも指摘。最終的に「アベノミクス」の成功の可否を決定づけるのは、農業分野や電力会社の競争力強化という構造改革の約束を実行できるかどうかだろう、と報じている。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、月ごとの貿易収支は、安倍政権の政策と密接に関係した指標だとみている。アナリストは、輸出が予想以上に好調であり、特にアジア向けが顕著だと指摘。さらに、景気判断の鍵は米国への輸出拡大にあるとみており、米国経済の回復の伴い、今年度後半の貿易赤字の回復を期待しているという。
【増税は実行されるのか?】
安倍首相はG8サミットで、日本が故意に円安を進めているとの批判を否定し、現在進めている改革は日本・世界経済、双方に有益なものだと理解を求めたとブルームバーグが報じている。
さらに消費税増税に関しては、増税に耐えうる十分に強い経済成長が必要だと条件をつけた。「第二四半期の数字をみて総合的な判断をする」と述べたが、具体的な数字には言及していない。
フィナンシャル・タイムズ紙によると、日本銀行政策委員会審議委員の白井さゆり氏は、今月はじめ、増税は消費者の購買意欲を削ぎ、経済の足かせとなると警告したと報じている。
しかし日本の債務はGDPの170%にも達しており、国際通貨基金(IMF)は、増税が日本の債務を減らすために極めて重要だと指摘している。