日本経済、回復持続のためのポイントは?
16日、内閣府の暫定データで、今年第1四半期の日本のGDPが0.9%増(年率3.5%増)と発表された。
また政府は経済見通しを「いくつかの地域に弱さが残っている」から「緩やかに持ち直している」へと上方修正した。ロイターの月次調査によると、製造業の先行き見通しも、今年初めて楽観が悲観を上回ったという。
各紙は、安倍政権の金融緩和・財政出動政策の効果によって、円が下がり輸出を助ける一方、日本企業の株価が上がり消費者が財布の紐を緩め始めたと伝える。
【日本経済への懸念】
一方ブルームバーグは、景気回復の持続に向けて、以下のような不安材料も挙げた。
まず、円安による輸入材や燃料高で、部品メーカーなどに痛みも出始めていることである。こうした会社は、往々にして労働法による解雇規制にも苦しんでいる。
次に、来年以降予定されている消費税増税が、需要を急冷することである。
最後に、需要をさらに拡大して世界経済へ恩恵を還元できなければ、韓国や中国などとの通貨摩擦に加え、円安を容認したG7諸国などからも怒りを買う可能性があると指摘した。
【回復持続のポイント】
したがって、安倍政権がこれから取り組む「成長戦略」、すなわち電力などの「インフラ輸出」戦略や、規制緩和・自由競争化などの構造改革が重要になる。
ただし、こうした改革が、農業従事者、組合、官僚、さらには自民党内さえも含めた抵抗に遭うであろうと懸念されている。GDPの245%に達するであろう債務を考えると、「バラマキの余地」にも限度がある。
また、安倍政権は原子炉を再稼働させ、火力発電の燃料の輸入抑制を望んでもいる。7月の参院選を目前に、政権はこうした話題について語ることを尻込みする可能性があると指摘されている。
ブルームバーグは、消費者支出が増えたとはいえ、デフレ・就職難の時代に育った若者層も、莫大な貯蓄を抱えてはいるがインフレによる年金目減りなどの将来不安がある退職者層も、ともに支出に対して慎重であると指摘している。