日本、「世界初」メタンハイドレート産出 期待と課題とは?
経済産業省は12日、愛知県渥美半島沖の海底地層から、天然ガスの一種「メタンハイドレート」の試験採取に成功したと発表した。海底のメタンハイドレートからのガス産出は世界初となる。
日本各紙(朝日・読売・産経)はこれを受け、今後の期待と課題について報じている。
各紙は、資源が乏しい日本にとって、メタンハイドレートが「国産燃料」となることを期待している。日本海側も含めると、埋蔵量は「日本の天然ガス消費量の100年分」になるという推計もあるという。読売新聞は、“電力供給の安定化や、化石燃料の輸入増で膨らむ燃料費の抑制につながる可能性もある”と国内におけるメリットを紹介する。さらに産経新聞は、“資源外交を有利に導くカードを手にする可能性も高まってきた”と、外交面のメリットにも言及している。
一方、各紙が指摘する課題は費用の高さだ。産経新聞によると、いまの技術では、日本のLNG(液化天然ガス)の輸入価格と比べ3倍以上のコストがかかるという。アメリカの天然ガス価格に比べても割高だと指摘される。さらに、朝日新聞によると、今回産出に成功した渥美半島沖のメタンハイドレートは「表層型」であり、日本海側の「砂層型」とは異なるという。日本海側の方が埋蔵量は多いと期待されており、今回の実験とはまた別の取り出し法の開発が必要と指摘している。
費用面の課題は大きいが、安倍政権は技術開発を進める方針だ。朝日新聞によると、政府は2000年代から588億円をメタンハイドレート埋蔵量調査などに投じており、13年度予算案でも87億円が盛り込まれているという。
また、近年アメリカでは、「シェールガス」と呼ばれる天然ガスを大量・安価に生産できるようになり、「シェール革命」と呼ばれている。従来は技術・コスト面で開発困難とされてきたが、技術革新により一気に開発が進んだという。各紙は、シェールガスの採掘技術同様、メタンハイドレートの採掘技術がより効率的・安定的で採算がとれるよう、進歩することに期待をかけているようだ。
総じて、メタンハイドレートに対する希望と課題に関する各紙の分析に大きな差異はなかった。