2023年世界の軍事力ランキング・順位を調査|日本は何位?最下位はどこの国?
2023年度の軍事力ランキングが、アメリカの軍事分析会社であるGlobal Firepower(グローバル・ファイアパワー)から発表された。軍事力ランキングは、各国の兵力・財政・資源・軍備などを総合的に評価しリストアップするものである。最新の2023年版では、世界145カ国を対象に実施された。
本記事では、最新のTOP10や日本の順位、最下位だった国を紹介する。軍事力ランキングの概要や評価基準もあわせてチェックしてほしい。
目次
軍事力ランキングとは?評価基準を紹介
Global Firepowerが、世界145カ国の軍事に関わる総合力を高い順に評価したものが「軍事力ランキング」だ。各国の軍備・兵力・財政・地理的条件・資源など、50以上の項目からなり、基準として判断する。なお、核兵器は基準には含まれていない。
評価は軍事力指数(パワーインデックス)としてスコアを算出する。軍事力が高いほどスコアは0に近くなる。
2023年最新!世界の軍事力ランキングTOP10
2023年の世界の軍事力ランキングTOP10の国を、軍事力指数とともに以下の表にまとめた。
ランキング | 国名 | 軍事力指数 |
10位 | イタリア | 0.1973 |
9位 | フランス | 0.1848 |
8位 | 日本 | 0.1711 |
7位 | パキスタン | 0.1694 |
6位 | 韓国 | 0.1505 |
5位 | イギリス | 0.1435 |
4位 | インド | 0.1025 |
3位 | 中国 | 0.0722 |
2位 | ロシア | 0.0714 |
1位 | アメリカ | 0.0712 |
10位〜1位までの国について、以下でくわしく解説する。
10位:イタリア
イタリアは空中給油機の保有数・攻撃機の戦力・空母の総数などの分野でトップ10入りし、総合で10位となった。
9位:フランス
フランスは空中給油機やヘリコプターの総数・駆逐艦や戦艦数などでトップ10入りが多くみられ、総合9位となった。
フランスでは、130人が死亡した2015年のパリ同時多発テロをきっかけに「国民奉仕制度」ができた。16歳で1カ月間、軍施設での合宿や奉仕活動を行うというものだ。フランス政府は、国を守る意識を若者たちに植え付けようとしているのかもしれない。
8位:日本
日本は8位にランクインした。2022年の5位から後退した形である。航空機やヘリコプター・装甲戦闘車両の保有数でトップ10入りしている。特殊任務航空機群の強度ではアメリカに次ぐ2位であり、海上自衛隊と航空自衛隊の評価が高い。
しかし、兵力の点で他国に劣るため8位にとどまっている。
7位:パキスタン
パキスタンは多くの石炭・石油・天然ガス田を有しており、天然資源の豊富さが評価され7位となった。2022年の9位から7位へ上昇した形である。兵役可能人口・現役兵力・航空機保有数などの分野でもトップ10入りしており、総合では7位となった。
6位: 韓国
韓国は北朝鮮と数十年にわたり緊張状態にあるため、当然軍事力は高いと考えられる。装甲戦闘車やヘリコプターといった分野でのランクインが多く、総合で6位となった。
5位:イギリス
イギリスは5位にランクインした。人的資源や航空戦力の強さ、強固な財務体質が評価された形だ。さらに、港の総数や空中給油機の総戦力などの分野でもトップ10に入っている。
4位:インド
インドは総合で4位となった。利用可能な兵力人口・利用可能な現役兵力・準軍事兵力においては2位と健闘している。インドでは2023年1月時点で6億人以上、国の人口の47%のマンパワーが利用可能といわれる。軍事予算や技術力が乏しい分を、安価な労働力で補っている形だ。
さらに近年では、海外からの戦闘機購入や国産空母の建造にも取り組んでいる。
3位:中国
中国は、利用可能な人的資源と海軍の艦隊の強さの分野で1位、総合で3位となった。中国は2023年4月時点で7億人以上の軍事力を持っており、その人口の多さが評価につながった形だ。
また、中国の軍事費は2020年で約27兆円と、アメリカに次ぐ規模である。中国の国防費はここ30年で42倍に達しており、急速に軍事力を高めようとしていることが分かる。近年は量に頼ることなく、質を高めた軍事開発を進めている。
2位:ロシア
現在(2023年7月時点)もウクライナ侵攻中のロシアが2位となった。ロシアの戦闘装甲車などの地上部隊は世界最強と言われるほか、数千機にもおよぶ軍用機を保有しており、航空機と輸送機の戦力が評価された形だ。
一方で、ウクライナ侵攻によって戦車をはじめとする大量の装備を失っているのも事実である。さらに西側からの経済制裁により、軍事予算が不足しているとも言われている。そのため、数年後にはランキングが大きく動いても不思議ではないだろう。
1位:アメリカ
日本の唯一の同盟国、アメリカが堂々の1位の座に輝いた。特に金融や資源のカテゴリーで圧倒的な数字を示している。
アメリカは、2023年4月時点で駆逐艦・空母・航空機・攻撃ヘリなどを多数保有している。また、2020年時点でのアメリカの軍事費は約85兆円であり、2位の中国の約27兆円と比べて圧倒的な差だ。
予算・兵力・技術力のすべてにおいて、他国を大きく引き離した格好である。
日本の軍事力ランキングは何位?
2023年の軍事力ランキングにおいて、日本は8位であった。「戦争ができない国」であるはずの日本が、軍事力で世界上位とは不思議な話かもしれない。なお、日本は専守防衛の自衛隊のため、軍事力ではなく防衛力と呼ぶのが正しい。
軍事大国と呼ばれる国が上位を占める中での8位は、多大に評価されていると感じる人も多いようだ。理由として、日本はGDP(国内総生産)世界3位で経済力が大きいことが挙げられる。それだけ防衛費にお金を回せるためだ。また、アメリカから購入している最新兵器も評価を高めた。
ヘリ空母の保有数はアメリカに次いで2位、駆逐艦の数ではアメリカと中国に次いで3位など、兵器の強さもランクアップに貢献している。
2023年世界の軍事力ランキングで最下位の国は?
2023年の軍事力ランキングにおいて、最下位の国はブータンだった。その上にアフリカのベナン共和国、東ヨーロッパのモルドバ共和国、東アフリカのソマリア共和国と続く。
最下位のブータンは「世界一幸福な国」と呼ばれており、仏教国のためなるべく争いを避け、精神的な豊かさを重んじる国民性が現れている。海軍・空軍はなく陸軍のみ、それも王室の護衛と国境警備・消防活動程度である。ある意味、軍事力というステータスからもっとも遠い国とも言えるだろう。
軍事力ランキングを見ると世界が見えてくる
2023年度の世界の軍事力ランキング1位は圧倒的な軍事費・兵力・技術力を誇るアメリカ、2位にロシア、3位に中国と続く。日本は兵力に乏しいものの、技術力や経済力の高さが評価され、8位にランクインした。
最下位は「世界一幸福な国」ブータンである。争いを避ける国民性から、必要最低限の軍隊しか置いていないためだ。
こうして軍事力ランキングを見てみると、世界の縮図が垣間見えるようである。日本に住んでいる私たちにとっては遠い出来事のようだが、今この瞬間も、世界のあちこちで戦争が起きていることを忘れないようにしたい。
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