映画『ハリー・ポッター』で主要人物を演じ死亡した俳優たちをふり返る
映画『ハリー・ポッター』シリーズは2001年から2011年にかけて全8作が公開され、今でも多くの人を魅了している作品だ。しかし、出演したキャストの中には惜しまれつつすでにこの世を去った俳優もいる。
本記事では、そんな俳優たちをシリーズに登場する主要キャストから6人ピックアップして紹介する。
目次
『ハリー・ポッター』の主要キャストで亡くなった6人の俳優
本項で紹介する亡くなった6人の俳優は、いずれも物語に影響を与える印象的なキャラクターを演じた。彼らが『ハリー・ポッター』シリーズで演じた役柄とともに、俳優としてのキャリアや代表作も交え、亡くなった順に紹介しよう。
リチャード・ハリス/アルバス・ダンブルドア役
リチャード・ハリスは主人公ハリーたちが通うホグワーツの校長、初代ダンブルドアを演じた。
名前 | リチャード・ハリス (Richard Harris) |
出身地 | アイルランド |
生年月日 | 1930年10月1日 |
没年月日 | 2002年10月25日(72歳没) |
主な出演作 | 『孤独の報酬』(1963) :カンヌ国際映画祭男優賞 『キャメロット』(1967) :ゴールデングローブ賞主演男優賞 『ザ・フィールド』(1990) :アカデミー主演男優賞ノミネート |
ホグワーツ魔法魔術学校の校長ダンブルドア
ダンブルドアは20世紀で最も偉大な魔法使いと呼ばれ、学園内外から多くの尊敬を集めている人物だ。魔法の実力や研究家としての業績はあるものの、自ら愚かな人間だと自覚しているため、おごったところは見られない。白髪の長いひげと髪がトレードマークとなっている。
生徒としてホグワーツに入学したときはグリフィンドール寮生で、当時から学園きっての秀才であった。
歌手としても知られたアイルランド俳優リチャード・ハリス
リチャード・ハリスは働きながら演劇アカデミーに通い、舞台俳優として長い下積み時代を経験した。ハリウッドに進出後はアクション映画を中心に活躍するも、アルコールや薬物への依存で露出が低迷。克服後は舞台を活動の中心に移し、1981年にはナイトの称号を授かっている。また、ミュージカル映画に出演したほか、1968年には「マッカーサー・パーク」で全米チャート2位を記録した。
2002年、ホジキンリンパ腫にてロンドンで死去。ハリー・ポッターシリーズには2作目『ハリー・ポッターと秘密の部屋』まで出演し、これが遺作となる。2代目ダンブルドアは、ハリスと同じアイルランド出身のマイケル・ガンボンが演じた。
リチャード・グリフィス/バーノン・ダーズリー役
リチャード・グリフィスは、幼いハリーを育ててきたダーズリー家の父親・バーノンを演じた。
名前 | リチャード・グリフィス (Richard Griffiths) |
出身地 | イギリス |
生年月日 | 1947年7月31日 |
没年月日 | 2013年3月28日(65歳没) |
主な出演作 | 『裸の銃を持つ男2 1/2』(1991) 『スリーピー・ホロウ』(1999) 『ベッドタイム・ストーリー』(2008) |
ハリーの親戚ダーズリー家の大黒柱バーノンおじさん
両親を亡くしたハリーが17歳まで身を寄せていた、親戚ダーズリー家の父親。ドリルの製造会社で社長を務めており、性格は極めて現実主義だ。ハリーに対しては、ダーズリー家の中でもひときわ厳しい態度を見せる。
魔法や幽霊などの存在は一切認めず、ハリーにホグワーツからの入学案内が届いても一家総出で阻止しようとした。妻・ペチュニアがハリーの母・リリーの姉にあたる。
イギリスで活躍した個性的な舞台俳優リチャード・グリフィス
リチャード・グリフィスは、イギリスで舞台を中心に活躍していた俳優として知られる。映画だけでなくテレビ作品にも数多く出演し、いずれも大きな体格と演技力を活かした個性的な役柄を演じている。2008年には大英帝国勲章が叙勲された。
シリーズには7作目の『ハリー・ポッターと死の秘宝PART1』まで出演。続編の8作目にはダーズリー家が登場しないため、最後までバーノンを演じ上げたことになる。2013年、心臓手術後の合併症により死去した。
アラン・リックマン/セブルス・スネイプ役
アラン・リックマンはホグワーツの教員・スネイプ先生を演じた。
名前 | アラン・リックマン (Alan Rickman) |
出身地 | イギリス |
生年月日 | 1946年2月21日 |
没年月日 | 2016年1月14日(69歳没) |
主な出演作 | 『ダイ・ハード』(1988) 『ロビン・フッド』(1991) :英国アカデミー賞助演男優賞受賞 『ギャラクシー・クエスト』(1998) |
陰険で意地悪な「影の主人公」スネイプ先生
黒ずくめのスタイルが特徴のホグワーツ教授にしてスリザリン寮監。学生時代から闇の魔術を得意とし、ホグワーツでは「闇の魔術に対する防衛術」の教授となる。元々魔法薬学の教授だったこともあり、魔法薬にも詳しい。
スリザリン寮生を露骨にひいきし、ハリーには常に陰険な態度で接する。しかし、ハリーの両親とホグワーツで同級生だったことなど、彼の過去と真実が明らかになるにつれ、影の主人公とも呼べる人物となった。
魅惑のベルベッド・ボイス アラン・リックマン
アラン・リックマンはグラフィックデザイナーから俳優に転身し、舞台俳優としてイギリスで活躍の場を広げた。1988年の『ダイ・ハード』で映画に初出演し、同作がハリウッドデビューながら鮮烈な印象を残す。
甘い低音ボイスの持ち主で、声を活かした役柄を演じることも多い。スネイプを演じるにあたり、作者から撮影当時まだ描かれていないスネイプの過去を、リックマンだけが聞かされていたという。2016年、すい臓がんにより死去した。
ジョン・ハート/ギャリック・オリバンダー役
ジョン・ハートは、魔法の杖専門店で店主を務めるオリバンダー老人を演じた。
名前 | ジョン・ハート (John Hurt) |
出身地 | イギリス |
生年月日 | 1940年1月22日 |
没年月日 | 2017年1月25日(77歳没) |
主な出演作 | 『ミッドナイト・エクスプレス』(1978) :ゴールデングローブ賞助演男優賞受賞 『エレファント・マン』(1980) :英国アカデミー賞主演男優賞受賞 『1984』(1984) |
純血の血筋を持つ「オリバンダーの店」の主
純血の魔法使いの血筋とされるオリバンダー家の出身。ギャリック自身は、母がマグル(魔法使いではない一般人)出身の半純血である。
魔法道具の店が建ち並ぶダイアゴン横町で、紀元前から続く由緒ある魔法の杖専門店の主であり、超一流の杖職人でもある。これまで作って売ってきた杖のことは、売った人だけでなく材質、長さなどの特徴まですべてを記憶している。
多彩な役柄を演じきったイギリスの名優ジョン・ハート
ジョン・ハートは画家を志すも学生時代に断念し、芝居の世界へと飛び込む。映画への初出演は1966年の『わが命つきるとも』で、以降は映画を中心に活躍し、高い演技力で評価された。2015年にはナイト爵を授かっている。
悪役から優しい隣人まで演技の幅は広く、中でも『エレファント・マン』では特殊メイクを施した主人公を熱演。オスカーにノミネートされたほか、英国アカデミー賞で主演男優賞を受賞している。2015年にすい臓がんの治療を公表していたが、2年後に死去した。
ロビー・コルトレーン/ルビウス・ハグリッド役
ロビー・コルトレーンは、ホグワーツで森番を務める職員・ハグリッドを演じた。
名前 | ロビー・コルトレーン (Robbie Coltrane) |
出身地 | イギリス・スコットランド |
生年月日 | 1950年3月30日 |
没年月日 | 2022年10月14日(72歳没) |
主な出演作 | テレビシリーズ『心理探偵フィッツ』(1993~1996) 『007 ゴールデンアイ』(1995) 『フロム・ヘル』(2001) |
ハリーたちのよき理解者・森の番人ハグリッド
もじゃもじゃの長髪と長いひげが特徴的なホグワーツの森番。非常に大きな体を持つ巨人族の母と、魔法使いの父との間に生まれた半巨人で、猫以外のさまざまな生き物を愛している。ホグワーツでは、森の外れにある小屋で愛犬のファングと暮らす。
ハリーにとっては初めて接した魔法使いで、のちに知り合うハリーの同級生ロンとハーマイオニーの3人組にとって、頼れる親友のような存在となった。
コメディアンとしても活躍したロビー・コルトレーン
ロビー・コルトレーンは、美術学校で絵画を学んだ経験を持つ舞台俳優として活躍。俳優業のほかに、スタンダップ・コメディアンとしてテレビ番組にも出演している。
ピアース・ブロスナン主演の『007』でマフィア役としてよく知られるようになり、ハグリッド役でさらに知名度を高めた。ハグリッドの配役は原作者たっての要望だったともされている。晩年は変形性関節症で苦しんでおり、2022年に臓器不全や糖尿病など6つの疾患から死去した。
レスリー・フィリップス/組分け帽子(声)役
レスリー・フィリップスは、ホグワーツで生徒たちの組分けを担う組分け帽の声を演じた。
名前 | レスリー・フィリップス (Leslie Phillips) |
出身地 | イングランド |
生年月日 | 1924年4月20日 |
没年月日 | 2022年11月7日(98歳没) |
主な出演作 | 『スキャンダル』(1989) 『トゥームレイダー』(2001) 『ヴィーナス』(2006) :英国アカデミー賞主演男優賞ノミネート |
入学した生徒たちの運命を握る組分け帽子
ホグワーツに入学した生徒がかぶる、顔がついたしゃべる帽子。ホグワーツの創設者たち4人が亡くなったあと、生徒の組分けを確実にするため、4人の性格と知性を吹き込んで作られた。
かぶった生徒が入る寮を決める役割を持ち、かぶった瞬間に寮が決まることもあれば、しばらく悩むこともある。新入生の組分け以外にもある役割があり、普段は校長室で厳重に保管されている。
数々のテレビ・映画作品に出演したレスリー・フィリップス
レスリー・フィリップスは、1937年に舞台俳優としてデビューして以来、多数の映画やテレビドラマに出演してきた。2007年の映画『ヴィーナス』では、英国アカデミー賞助演男優賞にノミネートされている。
シリーズでは『ハリー・ポッターと死の秘宝PART2』まで、組分け帽子の声として出演。印象的な声と演技で、しゃべる帽子に命を吹き込んだ。晩年は長く闘病生活を送っていたとされ、98歳で死去したことをレスリーの妻が報告している。
『ハリー・ポッター』名優たちの演技は映画でいつまでも語り継がれる
『ハリー・ポッター』シリーズに出演し、残念ながらこの世を去った俳優たちは少なくない。しかし映画の中で彼らは生き続け、その輝かしい演技はいつまでも語り継がれるだろう。彼らに会いたくなったら、ぜひ映画を見てほしい。