「私たちは海と戦争をしている」 ステラ・マッカートニー、パリコレで漁業批判

ステラ・マッカートニーの2027年春夏コレクション=9月30日、パリ|Aurelien Morissard / AP Photo

 ステラ・マッカートニーは9月30日、パリ・ファッションウィークで開いたショーで、漁業が海洋生物に与える影響を強く訴えた。革や毛皮、羽毛を一度も使用してこなかった自身のブランドは今年、創設25周年を迎える。

 雨が降るなか、イギリス大使公邸の庭園で行われたショーには、ジェニファー・ロペスやジュリエット・ビノシュらが姿を見せた。

 マッカートニー氏はショーの舞台裏で、人々が同じ生き物を、観賞するときには「sea life(海洋生物)」と呼び、食べるときには「seafood(シーフード)」と呼ぶことに疑問を投げかけ、「誰がその線引きをしているのでしょうか」と語った。

 水産業については、さらに強い言葉を使った。「これは戦争です。私たちは海を相手に戦争をしているのです」と述べ、皿に載る1匹の魚を捕るために、漁網にはイルカやタコなどさまざまな生き物がかかり、その多くが死んだ状態で海に戻されていると指摘した。

 ショーでも海は大きなテーマとなった。モデルたちは、PJハーヴェイの「Down by the Water」が流れるなかを歩き、Tシャツには跳びはねるイルカが描かれた。カーリー・クロスは波を思わせる装飾のミニドレス、ミランダ・カーは淡い海の色を思わせるドレスをまとった。

 マッカートニー氏は一方で、環境への配慮だけでなく、服そのものに魅力があることも重要だと強調。「何よりも大切なのは、実際にその服を着たいと思えることです。私にとって、それが一番重要です」と語った。

 同ブランドによると、今回の既製服コレクションでは、再生コットンのデニムやオーガニックコットン、シルクを使用したほか、石油由来ではなく藻類から作った黒色顔料も採用した。

 ウールについては、生産農場まで追跡可能な認証素材を使用している。また2026年からは、日本のバイオテクノロジー企業Spiber(スパイバー)が開発した、発酵によって作る新素材「Brewed Protein」をニット製品に取り入れている。

 ショーの1週間前には、アマゾンと森林保護団体Canopy(キャノピー)とともに「The Climate Pledge Fashion Coalition」を設立した。60社以上の企業が共同で新素材を発注することで、環境負荷の少ない素材の量産化を後押しする狙いがある。

 マッカートニー氏は昨年、LVMHが保有していた自身のブランドの少数株式を買い戻したが、現在もLVMHのベルナール・アルノー会長兼CEOにサステナビリティーについて助言している。「サステナビリティーについて、本当にさまざまなことを彼に助言しています」と語った。

 ショーを終えたマッカートニー氏は、ジーンズに白いTシャツ、ゆったりとしたブレザー姿で登場し、親指を立てて観客に応えた。舞台裏で質問が海洋問題からようやく服そのものへ移ると、「服の話がしたい、ということですか?」と逆に尋ねた。

※この記事はAP通信の記事を抄訳したものです。

By THOMAS ADAMSON AP Fashion Writer

Text by AP