大谷が来る! 2年前ブルージェイズファンが熱狂 「大谷機」を追跡した日
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米大リーグの年間王者を決定する今年のワールドシリーズで、ドジャースの大谷翔平選手がトロントのロジャーズ・センターに降り立つ。対戦相手はブルージェイズだ。ブルージェイズは2年前、大谷獲得に強い自信を示していたが、最終的に逃した因縁がある。そして当時、トロントのファンは「大谷機」を追跡し、期待は最高潮に達した。
◆入団前からロッカーを用意
2023年12月4日、フロリダ州ダニーディンのブルージェイズの球団施設で極秘会談が開かれた。MLB.comによれば、ジョン・シュナイダー監督は、マーク・シャピーロ球団社長らとともに大谷選手の乗る黒のSUVを待ち受けた。シュナイダー監督は「まるで大統領が来るようだった」と振り返った。
大谷選手は施設内を見学。ロッカールームにはすでに大谷専用のロッカーが用意され、トレーニングウェアのほか、好みに合わせたアイテムが一式詰められていた。同記事は、オレンジジュースの果肉の有無やコーヒーの嗜好まで調べ上げたかのような入念さだったと記している。
大谷選手は用意を気に入り、キャップなどロッカーの一式をバッグに収めて持ち帰った。SUVに戻る大谷選手を追う愛犬デコピンは、ブルージェイズが用意したカナダ製のドッグジャケットを着て走っていたという。
◆4000人が追跡した「大谷機」
その4日後の2023年12月8日。米ヤフー・スポーツによると、この日午前8時頃、ブルージェイズファンが、南カリフォルニアのジョン・ウェイン空港(サンタアナ)からトロントへ向かうプライベートジェットを発見し、大谷選手の移籍合意への期待が一気に高まった。
さらに同日午前9時台に、当時ブルージェイズ所属の菊池雄星がロジャーズ・センター近くの寿司店を貸し切り予約した、との情報がXに投稿された。裏付けはなかったが、大谷訪問の憶測に押され、1000件超のリポストが広がった。
午後1時53分には、ドジャース担当歴15年以上のベテラン記者J.P.フーンストラ氏が、「複数の情報源」に基づき大谷選手がブルージェイズを選んだと報じた。
しかし、その後いずれも誤りだったことが判明する。午後5時54分、CBCニュースは、問題の機に搭乗していたのは大谷選手ではなく、カナダの実業家でテレビパーソナリティのロバート・ハージャベック氏だったと伝えた。ハージャベック氏本人もインスタグラムで「ブルージェイズと契約する」とのジョークを投稿した。
◆「今度こそ本当に来る」
こうして、球団が大谷選手の獲得を逃したことが明らかになった。MLB.comによると、シュナイダー監督は翌2024年、当時を問われ「もし一言言えるなら、持ち帰ったブルージェイズのキャップは返してほしいと伝えたい」と笑顔で語った。
そして2025年、大谷選手は本当にトロントへ向かう。入団のためではなく、ワールドシリーズでブルージェイズと対戦するためだ。
米スポーツ・イラストレイテッドは、トロント行き機の誤報をめぐる当時の混乱を踏まえ、USAトゥデイ紙ボブ・ナイティンゲール氏の「今度こそ本当にトロント便に乗る」という趣旨の投稿を紹介している。
2025年ワールドシリーズは現地10月24日(日本時間10月25日)、トロントのロジャーズ・センターで開幕する。




