ジブリ映画と『ゼルダ』、幸福感を押し上げ 最新研究が示す
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ビデオゲーム『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』やスタジオジブリの映画が、若者の幸福感を高める可能性が、学術研究で示された。オープンアクセスのデジタルヘルス系学術誌「JMIR Serious Games」に掲載された論文は、ゲームや映画といったエンターテインメントが、現代の若者が感じる不安や悲しみをどう軽減しうるかを分析している。
研究は、インペリアル・カレッジ・ロンドン、九州産業大学、ジョージア州立大学の共同研究チームが実施した。大学院生518人を対象に、探索的なランダム化比較試験(無作為にグループ分けして効果を比較する手法)を行った。参加者は、「ゼルダをプレイする/しない」と「懐かしさのあるジブリ作品(例:『となりのトトロ』『魔女の宅急便』)を見る/見ない」を組み合わせた4群(プレイのみ/視聴のみ/両方/どちらもなし)に無作為に割り当てられた。
実験後、参加者は「探索」「平穏」「熟達感(スキル)」「目的・意味」、そして「人生全体の幸福度」を測定する質問票に回答。研究チームは分散分析やブートストラップ法による媒介分析を用いてデータを検討した。
その結果、オープンワールドゲームをプレイするだけでも人生全体の幸福度が上昇し、さらにジブリ作品の視聴を組み合わせると上昇幅が一段と大きくなる傾向が示された。これは、プレイによって「探索心」「平穏さ」「熟達感」「目的・意味」が高まり、それを経由して幸福感が押し上げられるというメカニズムが、統計的に支持されたことを意味している。
著者の一人、アンドレアス・B・アイジンガーリヒ氏は、「『ブレス オブ ザ ワイルド』の自由な探索と、スタジオジブリ作品のマインドフルな驚きは、探索、静けさ、目的の発見、幸福といった人間の基本的な力を育み、日常のウェルビーイングを高める道筋を提供しうる」とコメントしている。
この知見は、「思慮深く選ばれた芸術やインタラクティブなメディア」が、現代社会で増大する若者の不安や孤独に対処する上で、一定の役割を果たす可能性を示唆している。




