ドラクエ3リメイク、海外での評価は? 米誌「オルテガのなまりがぴったり」
RPGゲーム『ドラゴンクエスト3』リメイク版が発売され、海外でも高い評価を得ている。古き良き時代の雰囲気をそのままに、現代の高精細なグラフィックで再現したことで好評を呼んだようだ。「史上最高のリメイクの一つ」などの賛辞が寄せられている。
◆進化したビジュアルに没入する
海外レビュー集積サイト「メタクリティック」におけるメタスコア(12月4日時点)は、PC版の87を筆頭に、プレイステーション5版で84、スイッチ版で82、Xbox版で78と、いずれも高い水準だ。
ゲームライターのオリー・バーダー氏は、米フォーブス誌への寄稿で、「史上最高のリメイク作品の一つ」だと絶賛する。オリジナル版からの進化点について氏は、まずビジュアル面において、キャラクターが「愛らしい2Dのピクセルアート」で表現されるようになったと指摘する。
サウンド面では、すぎやまこういち氏のクラシック楽曲が東京都交響楽団によるオーケストラで新たに収録された。また、ボイスオーバーも大きな改善点の一つだ。英語版では、特に主人公の父オルテガの声を担当したデイブ・ジョーンズ氏の演技が秀逸で、イギリス北部のアクセントがキャラクターに非常によく合っているという。
◆伝統のシステムに新要素を融合
リメイクは古くからのユーザーの大きな期待に応えた。
米テックメディアのヴァージは、探索とターン制バトルがオリジナル作品のシステムを継承していると紹介。一方で新要素として、仲間に出来るモンスターとして「はぐれモンスター」の分類を新たに実装した。
ポイントは新旧の要素の絶妙なバランスだ。ヴァージは、「時には、シンプルで昔ながらのRPGが必要なこともある」と力説。ビジュアル面では「信じられない」ほど進化を遂げつつ、システム面は旧作の体験を継承し「ほっとするような親しみやすいアドベンチャー」に仕上がったと評価している。
バーダー氏は、「(オリジナル版の)『ドラゴンクエストIII』は、最高のロールプレイングゲームの一つであり、文化的に重要な作品であると、しばしば、そして正しく評価されている」と指摘。それだけにリメイクはハードルが高かったが、「このゲームがその期待に十分見合う出来栄えであることを嬉しく思う」と出来映えに満足した様子だ。
◆古典RPGを見事にリメイク
老舗ゲームサイトの米IGNは、「古典的なRPGをリメイクする模範的な例」であると絶賛している。1988年のファミコン版オリジナルの基本設計を忠実に維持しながら、現代的な改善を加えることで、完璧なバランスを実現したと述べている。
戦闘システムの柔軟性は特筆すべき点だ。いつでも切り替え可能な3段階の難易度設定に加え、戦闘アニメーションの速度調整や、パーティーメンバーの行動設定など、プレイヤーの好みに応じてカスタマイズできる。
また、レベルアップ目的の戦闘の際は自動戦闘に任せ、重要なボス戦の前に手動操作に戻すといった使い分けが可能で、いわゆる「経験値稼ぎ」の面倒を解決した。旧作の精神を受け継ぎながらも、戦闘のテンポアップなどで現代にふさわしい作品に仕上がっている。
ヴァージは、「自分と剣と魔法、そして倒すべきモンスターがいっぱいいるだけ。時には、それだけで十分なのだ」と結んでいる。子供時代に夢中になった冒険譚に、もう一度没入できる秀作となっているようだ。