佐々木朗希、米メディアの評価は? MLBで活躍できるのか、懸念点

WBC準決勝メキシコ戦で投球する佐々木朗希(23年3月20日)|Wilfredo Lee / AP Photo

 千葉ロッテマリーンズから正式にポスティングシステムによる米大リーグ挑戦を認められた佐々木朗希投手。米スポーツメディアは、怪我による球速の低下に懸念を示しつつ、「本当に、本当に優秀だ」「日本のほかの投手と遜色ない」と絶賛する。大リーグでの活躍が急速に現実味を帯びている。

◆実力への評価は「優秀で、さらに伸びしろあり」
 大リーグのタレントエバリュエーター(選手評価の専門家)は、米スポーツ・イラストレイテッド誌(11月12日)に対し、「彼(佐々木選手)にとっての限界は、世界最高の投手であることだ」と極めて高い評価を示している。

 現在23歳の佐々木投手の4年間の通算成績は、防御率2.02、9イニングあたりの奪三振率11.5。同誌は、平均球速は2023年の159キロから今季は156キロにダウンしたものの、縦の変化が17インチ(約43センチ)、横の変化が12インチ(約30センチ)という卓越した動きのフォーシーム(ストレート)を武器としていると紹介。

 米ESPN(11月9日)は佐々木選手に関し、「本当に、本当に優秀だ。しかも、まだ完成形ではない」と絶賛する。同投手は目覚ましい実績を残してきた。高校時代から160キロの速球を投げ、プロ入り後の2022年、日本野球機構(NPB)タイ記録の19奪三振で完全試合を達成している。

 2023年のNPBレギュラーシーズンでは、平均約159キロのストレートを武器にした。左右両打者に効果的な世界最高レベルのフォークを会得し、一流のスライダーを操る投手へと成長した。

◆MLBで通用するのか
 ESPNの分析によると、23歳という若さですでにこうした3種の球種が「プラス(良好)からプラス・プラス(優秀)」のレベルに到達している。今後はピッツバーグ・パイレーツのポール・スキーンズ選手などが得意とするスプリンカーやカーブなど、新たな変化球が加わる可能性もあるとESPNはみる。

 スポーツ専門サイト『ジ・アスレチック』(11月7日)は、「佐々木のフォークは、目で見た判断としては合格だ。日本から来たどのピッチャーとも遜色のない一流の球質だ」と評価しており、メジャーでの活躍に問題はないとの認識を示す。

 同誌は、フォークの空振り率(打者がスイングした場合)が今年57%に達し、大リーグではシンシナティ・レッズのフェルナンド・クルス投手に次ぐ高さだった点を指摘する。シカゴ・カブスの今永昇太投手でさえ42.9%にとどまる。

◆米メディアが指摘する懸念点
 課題もある。ジ・アスレチックは、佐々木朗希投手の近年の成績推移について詳しく分析している。

 2022年から翌年にかけ絶好調の佐々木投手だったが、今年は上半身の疲労と腕の痛みに悩まされ、防御率2.35、投球回111イニング、奪三振129となり、22年と23年の活躍と比べると下降傾向にある点を指摘。また、注目すべき点として、奪三振率から与四球率を引いた指標(K-BB%)で、2年連続30%以上をマークしていたものが21.6%まで低下したことを挙げた。

 さらにスポーツ・イラストレイテッドは、日米のボールの違いにより、フォーシームの威力が低下する可能性を指摘している。オリックスからドジャースに移籍した後に苦しめられた山本由伸投手の実例を同誌は挙げる。

 佐々木投手の移籍先についてESPNは、「簡単に言えば、どの球団でもあり得るが、ドジャースが有力である」とみる。どの選手にも故障のリスクはつきものだが、大リーグ活躍への期待は高い。

Text by 青葉やまと