韓国発「ピッキピッキダンス」が世界で人気に オリヴィア・ロドリゴもSNSにダンス動画

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 韓国のK-POPに続いて世界を席巻しているのが、プロ野球のチアリーダーのダンスだ。スクラッチ音に合わせて両手を上下する簡単な振り付けは、アメリカの人気ミュージシャンや米プロフットボールNFLのチアリーダーも真似るまで広がっている。

◆プロ野球チームの応援ダンス、大バズり
 韓国で2022年に流行した野球の試合中に見られるチアリーダーのダンスがソーシャルメディアでいきなり人気が急上昇し、世界中でブームが巻き起こっている。

 「ピッキピッキダンス」と呼ばれる人気のダンスは、韓国のプロ野球チーム「起亜タイガース」のチアリーダーが試合中に踊る応援ダンスだ。軽快なドラムビートとスクラッチ音に合わせて、親指を立てながら両手を上下するシンプルな振り付けで、起亜タイガースが相手打者を三振に打ち取って相手チームをブーイングするときに踊る。

 最初に流行した動画の一つは、化粧直しをしていた起亜タイガースのチアリーダー、イ・ジュウンがいきなり立ち上がって無表情で髪一本乱れることなく完璧なルーティンダンスをこなし、席に戻る動画で、K-POPスターや歌手のオリヴィア・ロドリゴも真似た(インデペンデント紙、9/25)。

 ブームのきっかけは、イ・ジュウンのダンスを取り上げたファンが6月にユーチューブに投稿した18秒の映像が瞬く間に拡散したことだった。動画の再生回数は現在までに8400万回を超え、インスタグラムやTikTokといったほかのプラットフォームにも広がっている。

 タイガースのチアリーダーたちがこのダンスを披露するほかの動画も、ソーシャルメディア上で数十万回再生され、現在の盛り上がりにつながっている。

◆NFL、ミュージシャンもダンスに夢中
 韓国では、このダンスは以前から一般的だったが、TikTokのインフルエンサーやポップスター、そしてほかのスポーツチームもダンス動画を投稿し、今では世界中にブームが巻き起こっている。

 NFLのダラス・カウボーイズのチアリーダーであるカイリー・ディクソンは19日、2人の同僚と一緒にチームの特徴的なアクロバティックな「サンダーストラック」のダンスと、クールなピッキピッキダンスをTikTokで公開した

@kylie.dickson harder than it looks ppl! 😂⭐️ day 5/30 #dallascowboyscheerleaders @Leatunnell @Kleine ♬ nhạc nền – Sports Girls

 その2日後には、ポップスターのオリヴィア・ロドリゴがオリジナルバージョンのダンスクリップをTikTokに投稿し、21日以降の再生回数は2250万回以上を記録した。「ily korea(アイ・ラブ・コリア)」というキャプションがつけられている。

@livbedumb

ily korea

♬ som original – Cortes

 起亜タイガースのチアリーダーは長年にわたって地元で多くのファンを獲得してきたが、世界規模で名声を得たのはピッキピッキダンスが初めてになる。

 チアリーダーの代表を務めるエイペックス・コミュニケーションズのイ・シヨン社長は、ニューヨーク・タイムズ紙に「韓国のプロ野球チアリーディング界からこのような世界的なソーシャルメディア現象が現れたのは初めてのことだ」と語る。

◆韓国野球は応援が見もの
 このダンスは世界中で、特にアメリカで高い関心を持たれている。

 アメリカと韓国はともに野球を愛する国だが、両国の試合の雰囲気は非常に異なる。アメリカの試合は、観客が落ち着いて見守る時間が比較的長く、フィールドで何か大きな出来事が起きたときだけ歓声が上がるのに対し、韓国の試合は終始応援などで騒々しい。

 韓国の野球は「応援文化」抜きには語れない。各チームのファンは、チームの応援Tシャツに身を包み、スティックバルーンを手に、チアリーダーにリードされながらチームの応援歌を歌う。チアリーダーたちは、試合中ずっと楽しく賑やかなルーティンを披露し、観客のエネルギーを最高潮に保ち、時には相手チームとの「応援合戦」をリードする。

 北海道から来た斗山ベアーズのファンはABCニュースに対し「韓国の野球はどこかコンサートのようです」とし、「日本では絶対に見られない派手な応援を好きなチームにするのが楽しいんです」と話す。

Text by 中沢弘子