米陸上大会、トランス選手が好成績で物議 保護者らから疑問の声

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 米オレゴン州で開催された陸上競技大会で、トランス女性の高校生が、女子競技の2種目で表彰台に上がった。州のルールでは、性自認を反映したスポーツチームへの参加が認められているが、女子選手や保護者からはあまりにもアンフェアだと批判が出ている。

◆男子なら下位だが… 女子の部で大差をつけフィニッシュ
 物議を醸す結果となった大会は、オレゴン州シャーウッドで開催された、ニード・フォー・スピード・クラシックだ。生物学的には男性であるトランス選手、エイデン・ギャラガー選手が、高校生の女子200メートルと400メートルに出場。それぞれ25秒49、55秒61と、全体の2位となるタイムでフィニッシュした。200メートルで、ギャラガー選手のタイムを上回った女子は、別の組で24秒43を出した選手1人だけだった。また、400メートルの優勝者は、55秒47でかろうじてギャラガー選手を上回った。

 フォックス・コーポレーションのスポーツ&カルチャー・サイト『アウトキック』によれば、もしギャラガー選手が男子種目に出場していれば、200メートルでは65人中61位、400メートルなら58人中46位の成績で終わっていたはずだという。ギャラガー選手は、2023年5月のインタビューで、女性らしくなるためのホルモン治療は受けていないが、将来受けたいと話していた。現時点でホルモン治療を受けたかどうかは不明だが、問題のレースのビデオを見ると、他を寄せつけない圧勝だった。

 オレゴン州学校活動教会(OSAA)の規則では、トランスジェンダーの生徒が自分の性自認を学校に通知した場合、その生徒は一貫してその性別として扱われる。アウトキックによれば、トイレやロッカールームも、その性別のものを使用することが認められているという。

◆これがフェアなのか? 批判続出
 同じレースに参加したという女子選手の保護者は競技動画を見て、「正気とは思えない。これがフェアだと思う人がいるのか? 女子選手たちは、この大会に出場するため州中から集まったのに、男子に負かされる結果になるなんて」と述べた(アウトキック)。

 カナダのポッドキャスターで作家のメーガン・マーフィー氏は、ギャラガー選手のレース映像を見て、「なぜ彼の両親が、彼が女性のふりをするのを許すのか、なぜ彼のコーチが不正を許すのか、なぜ女子選手たちの親やコーチが声を上げないのか」と批判した。元陸上アメリカ代表のカリリン・ジョンソン氏も、これでは若い女子選手に彼女らは重要ではないと教えているようなものだとし、対応が必要という考えを示した。(ニューヨーク・ポスト紙

 一方、LGBTQ2+の擁護団体、アウト・セントラル・オレゴンのローレン・ローズ氏は、自分の性自認でスポーツに参加できないようにすることは、差別と排除のシステムを永続させることになると主張。他人の識別を必ずしも気にする必要がない社会になることを望むと述べた。(セントラル・オレゴン・デイリー紙

◆女子のチャンスが奪われる 州議会議員も懸念
 ギャラガー選手はまだ2年生で、今後数年の間に、より多くのメダルを獲得するだけでなく、ほかの優秀な女子選手を差し置いて奨学金を受け取る可能性もある。今回の結果が反映されて州大会に出場することになれば、自動的に女子からチャンスを奪うことになると女子選手の保護者は指摘しているという。(アウトキック)

 不公平という意見を受け、オレゴン州の議員団がOSAAに書簡を送り、政策の変更を求めるため来年の議会でこのテーマを取り上げる予定だとした(セントラル・オレゴン・デイリー紙)。

 アメリカスポーツ医学会によれば、スポーツに関しては、男子の場合、たとえ成人になってからホルモン治療を受けたとしても、女子よりも生物学的に有利とされている。これを理由に、陸上の国際統括団体である世界陸連は、男性として思春期を過ぎた選手の女子競技への参加を禁止している。

Text by 山川 真智子