海外でも加熱するポケモンカード人気 標的にされるコレクターは戦々恐々

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 1996年に生まれたポケモンカードの人気は今も衰えるどころかさらに増しており、高額の取引対象にまでなっている。これは日本だけでなく海外でも同じで、ポケモンカードをめぐる犯罪すら増えている。

◆28年後も衰えぬ人気
 ポケモンカードの価格はここ数年上昇傾向にあり、5千円、1万円を超えるものはざらで、なかには10万円を超える高額カードまで登場している。この状況は海外でも同様だ。欧州では昨年、希少なピカチュウのカードがeBayで100万ユーロ(約1億6500万円)で売りに出されたことが大きな話題となった

 ポケモンカードを用いたゲームの人気も健在だ。昨年夏には、ポケモンバトルの世界大会「ポケモンワールドチャンピオンシップス2023」が横浜で開催され、世界中から多くのプレーヤーやファンがにぎにぎしく集まった。

◆収集品としての側面
 最初は子供のおもちゃだったポケモンカード。その人気が急激に高まったのは2016年ごろだったと元カードショップオーナーの後藤氏は記憶している。その頃を境にポケモンカードは「明白な価値を持つ収集品」としての側面をもつようになったという。(ル・フィガロ紙

 2023年10月にはパリのアグット・オークションハウスが、初のカード・オークションを開催し、落札されたカードの総計は22万ユーロ(約3600万円)に上った(BFMTV)。

◆盗難と詐欺
 だがこうした人気の影で、カード販売店が盗難に遭ったり、顧客同士が店の前で喧嘩をしたりといった騒動も起きるようになった。欧州では、コレクターの個人宅が強盗に襲われる事件すら起きている。今年の1月中旬に襲撃されたフランスのコレクターは、10万ユーロ(約1650万円)の被害に遭った(BFMTV)。

 確かに、強盗側から見れば、カードは隠すにも運ぶにも場所を取らず、宝石と異なり追跡方法もない好都合な品だといえる。コレクターにとってコレクションをネット上で披露することは、それなりのリスクを負う行為となってしまった。

◆鑑定と保険の対象に
 だが、ポケモンカードに関する犯罪で最も頻度が高いのは、強盗ではなくオンライン詐欺である。ネット上には偽造カードがあふれているし、中古品販売サイトには「空パッケージ詐欺」が横行している。ここでいう空パッケージ詐欺とは、販売者ではなく購入者による詐欺だ。手口は単純で、受け取ったパッケージの中身を空にして、その画像を添えてサイトに苦情を申し立てるというものだ。

 これらのリスク増加に伴い、コレクターの一部には、専門家の鑑定を受けた上で、ポケモンカードに保険をかける人も出始めている。コストは決して安くないが、保険会社によれば、「いざというときの補償プロセスをぐんと容易にする」方法だ(BFMTV)。

 調査会社の予測通り、カード収集市場が今後数年成長し続けるのであれば、鑑定や保険プログラムの必要性は今後もおのずから高まるものと予想される。

Text by 冠ゆき