テイラー・スウィフト「今年の人」に動揺するトランプ支持者たち、なぜなのか?

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 今年のテイラー・スウィフトの快進撃は凄まじいものだった。タイム誌によると、「エラズ・ツアー」は北米だけで約22億ドルのチケット売上高(予測)を記録し、史上最高の収益を上げるツアーとなった。その後メキシコシティを皮切りに国外ツアーも始まり、日本も含むツアーは2024年11月まで続く予定だ。ツアーではチケット売上だけでなく、それに付帯する観客のグッズ購入や滞在費用、交通費なども含め多大な経済効果を生み出している。フォーブス誌によると、エラズ・ツアーの大成功により、テイラーは今年ビリオネアの仲間入りを果たした。

◆テイラーの受賞は「民主党の政治的陰謀」
 世界経済にポジティブなインパクトをもたらしたテイラーが、タイム誌の「今年の人」に選出されたのは無理もないことだろう。しかし、そのニュースに敏感に反応したのが「MAGA」、つまりドナルド・トランプ前大統領支持者たちである。「今年の人」といえばトランプ氏が固執しているタイトルで、2016年に初めて受賞。その際にTIMEという文字の「M」の位置がちょうどトランプ氏の頭上にあったことから、悪魔の角のように見えると話題になったことがある。そしてトランプ氏支持者は、政治的にリベラル寄りのテイラーが「今年の人」を受賞したことが「左派の政治的陰謀」であると信じているようだ。

 USAトゥデイによると、トランプ支持者で陰謀論者のジャック・ポゾビーク氏はX(旧ツイッター)に、「テイラー・スウィフトのガールボス心理作戦は完全にアクティベートされた。彼女が選んだワクチン宣伝人のボーイフレンド(筆者注:新恋人のトラビス・ケルシー氏のこと)からDINK(筆者注:デュアル・インカム・ノー・キッズ)のライフスタイル、彼女の民主党のための中絶の権利に関する2024年有権者作戦まで。すべてが来る」と投稿。

Text by 川島 実佳