『静かな贅沢』…超富裕層の「地味」ファッションが一大トレンドに

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 かなりの富を持ちつつも、それを周りに誇示しないライフスタイルを、英語圏では『ステルス・ウェルス(stealth wealth:密かな富)』、または『クワイエット・ラグジュアリー(quiet luxury:静かな贅沢)』と呼んでいる。もともと世襲財産を持つ富裕層の間で浸透していたスタイルだが、最近ではファッショントレンドとして注目されている。

◆ロゴを見せるのは下品? 「こっそりと裕福そう」がポイント
 若者向けデジタルメディア『リファイナリー29』によれば、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」ではファッション好きたちが『静かな贅沢』に深く傾倒し、2000年代のトレンドを取り入れた派手なY2Kファッションから、ミニマルなスタイルと控えめな色に向かう現象が起こっているという。

 『静かな贅沢』はもともと新しいものではなく、富裕層、特に世襲財産を持つお金持ちが持つ概念だった。ファッションビジネスコンサルタントのキャロリン・メア氏は、富を得たばかりの人ほど、「社会的地位や評判を得るため、派手な富を見せる行為」に溺れやすいとBBCに説明する。一方、お金を持つことに慣れている人には、そのような「目立つ消費」は不要だという。

 実際のところ、ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグのような億万長者は、何十年も前からブランドロゴのないTシャツで出勤しているが、その価格は1枚数百ドルだという。このような「こっそりと裕福そうに見える」技術に若者が魅了されていることが、一連のポップカルチャーの現象から見て取れるとリファイナリー29は説明している。

Text by 山川 真智子