テイラー・スウィフトの「歴史」が見れる! パフォーマンス衣装の展示会が開催中
テイラー・スウィフトによるツアー『ジ・エラズ・ツアー(The Eras Tour)』 が幕を開けた。パンデミック以降に発表された新作を披露し、これまでの華麗な歩みを回想するツアーは、アメリカ国内の開催地で観客を魅了し興行記録を塗り替えている。
ツアーのチケットが入手困難であることはすでに広く知られている。
ニューヨーク市にあるミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザイン(MAD)の2階では、チケットよりも手頃な価格でファンたちがスウィフトの「歴史」を垣間見ることができる。ミュージックビデオやツアー、授賞式でのパフォーマンスに登場した衣装や小道具数十点が、展示会『テイラー・スウィフト・ストーリーテラー(Taylor Swift: Storyteller)』で公開されている。レッド・ツアーで『オール・トゥー・ウェル(All Too Well)』を披露した際に着用していたレースドレスや、ミュージックビデオ『ビジュエルド(Bejeweled)』に登場する「お城への鍵」などがコレクションの一部として展示されている。
美術館長のティム・ロジャーズ氏は「自分を引き立たせるために衣装やファッションを選ぶほかのスターとは異なります。テイラー・スウィフトは言葉を紡ぐように、衣装や小道具を用いて表現しているのです」と述べる。スウィフトが歌詞のなかで語る物語を衣装や小道具を使ってどのように体現しているのか、展示会を通して理解を深めたいという。
ロジャーズ氏によると、MADでのほかの展示会に訪れたスウィフトのチームから今回の企画が提案されたという。その展示会はマシーン・ダズルとしても知られ、衣装デザイナーでありパフォーマーでもあるアーティストのマシュー・フラワーによる作品を展示した『クィア・マキシマリズム x マシーン・ダズル(Queer Maximalism X Machine Dazzle)』だ。ロジャーズ氏は「まったく予期していなかった」と当時を振り返る。
ニュージャージー州にあるメットライフ・スタジアムにて3夜連続で開催されたスウィフトの公演に先立ち、展示会は開催された。コレクションはコンサートと同様、これまで10年にわたって広く活動してきたスウィフトの歩みを一つずつ紹介するものである。2010年にリリースされたアルバム『スピーク・ナウ(Speak Now)』で本人が演奏していたクリスタルを散りばめたギターや、レピュテーション・スタジアム・ツアー中に着用したフードつきのボディスーツ、2020年のアルバム『フォークロア(folklore)』リリース時に公開された写真のなかで着ていたストライプのTシャツなどが展示されている。
展示会を訪れたファンの一人であるテレサ・ボカラン氏は「テイラー・スウィフトは視覚を通して物語を語ります。彼女のパフォーマンスはすべて、とても気持ちが込もっているような感じがします。そのような衣装を間近に見られるなんて本当にうれしいです」と話す。
展示会は9月4日まで開催される。会場内では、短編映画『オール・トゥー・ウェル(All Too Well)』の10分間バージョンをはじめ、スウィフトのミュージックビデオがスクリーンに映し出されている。壁に走り書きした自筆の歌詞が、スペースの要所要所に飾られている。
そのなかでも中心的な存在となっているのは、スウィフトの物語のなかでも最近の作品にまつわるもので、2021年にリリースされた『フロム・ザ・ヴォルト(From the Vault)』シリーズの『アイ・ベット・ユー・シンク・アバウト・ミー(I Bet You Think About Me)』のなかで身にまとっていた優雅な赤いウェディングドレスだ。本作品は、ブレイク・ライブリーが監督を務め、マイルズ・テラーが共演した。クリス・ステイプルトンが参加した楽曲は、2012年のアルバム『レッド』(Red)』の再録版に収録されている。チュール生地のローズモチーフで装飾されたドレスは、ニコルフェリシアがスウィフトのために制作した特注品である。
映像のなかで、赤いドレスはみんなの目を奪うほど、まさに結婚式を中止させるほどに印象的である。展示会場においても、その美しさは弱まっていないようだ。
展示会がオープンした週末、ロジャーズ氏は「会場に入り、その赤いドレスを見て本当に泣き出す人がいるのです。テイラーが実際に着用したこの衣装を見ることは、多くの人にとっては宗教的ともいえる経験なのでしょう」と話す。
ファッション工科大学に通うグレタ・マイアズ氏は「そこで『アイ・ベット・ユー・シンク・アバウト・ミー』のドレスを見られるなんてとても待ちきれません。先の楽しみにしようと、まだ見ていないのです」と言う。
By ELISE RYAN Associated Press
Translated by Mana Ishizuki