松本零士を悼むフランス「アルバトールの父逝く」 新聞一面にも

Domenico Stinellis / AP Photo

◆40年以上続く人気
 両作品のファンはいまだに多く、フランスの通販サイトで検索すれば、本やDVD、フィギュア、小物などの関連商品が数多くヒットする。

 人々の関心も高く、たとえば、『ゴルドラック』の人気を分析する書籍をモンペリエ大学の映画学教授らが上梓したのは2018年のことだし、今年詳細が発表される予定の新作にはすでに大きな期待が寄せられている。

 『アルバトール』にしても、2021年に解散したフランスの音楽デュオグループ、ダフト・パンクがファンだったことから、2000年には松本零士のアニメーションクリップで新作を発表。続いて2003年には松本零士とのコラボでアニメーションオペラを制作している。

 また、2013年12月にフルCGアニメ映画『アルバトール』(邦題:キャプテンハーロック)がフランスで劇場公開された折には、公開初日に日本映画としては歴代1位となる4万4929人を動員する快挙を遂げた。この映画の最終的な観客動員数は70万人を超えている

◆フランスの芸術文化勲章受章
 松本零士の訃報が大きく報じられた理由は、こういう背景を受けてのことで、リベラシオン紙に至っては、アルバトール(キャプテンハーロック)のイラストが、翌日の一面を大きく占めたほどだ。

 だが、それだけが理由のすべてではない。上述の功績により、松本零士は2012年にフランスの芸術文化勲章シュヴァリエを受けているのだ。また、2013年にはフランス・アングレーム国際漫画祭で60年のキャリアを祝い、2019年には永井豪とともにジャパン・エキスポに参加したことも、フランス人ファンの記憶に新しい。

Text by 冠ゆき