パリ五輪のぬいぐるみが中国製で物議「フランスの象徴が…」
2024年に開かれるパリオリンピック・パラリンピックのマスコットが11月に発表された。その名はフリージュ。てっぺんが少し曲がった三角の長い帽子、フリジア帽をモチーフとしている。このフリジア帽は、革命期以来フランスでは「解放への象徴」を表しており、組織委員会もフリジア帽こそ同国の歴史と価値観を示すのに最適なものと考えたのだ。だが、ネット上ではそのデザインを揶揄する声も散見される。しかも、販売予定のマスコットの大半が中国製になる見通しが報道され、政界からも批判の声が出ている。
◆フリジア帽とは?
フリジア帽という名は、古代アナトリアにあった王国フリュギアに由来する。その後、ローマ帝国において、解放された奴隷がフリジア帽をかぶるようになったことから、この帽子は「自由への解放」と重ねて見られるようになった。フランスでは革命期以前にも、17世紀にブルターニュで起きた反乱で赤いフリジア帽が用いられ、その時からフリジア帽と言えば赤いものとなった。フランス以外でも、19世紀には現在のカナダ、ケベック州で反乱愛国者らが着用したし、その後アメリカの独立戦争中にも用いられた。(Cnews、11/15)
よく知られるようにフランスの象徴はマリアンヌと呼ばれる女性だ。ドラクロワの名画『民衆を導く自由の女神』に見られるように、マリアンヌが被っているのもフリジア帽だ。ちなみに、フランスの市役所や県庁などの公的施設には必ずマリアンヌの彫像が置かれており、マリアンヌはフランスの切手や硬貨の図柄としても知られる。フランス政府広報のロゴにもマリアンヌがデザインされている。それを考えるとフリジア帽がフランスのマスコットに取り上げられたのも自然なことだ。