アフリカ初のプリツカー受賞者フランシス・ケレ、軌跡とビジョン

ディエベド・フランシス・ケレ|Lars Borges

 3月15日、建築界のノーベル賞とも言われる、建築界最高峰の賞であるプリツカー賞の今年の受賞者が発表され、ブルキナ・ファソ出身のディエベド・フランシス・ケレ(Diébédo Francis Kéré)が受賞した。彼の軌跡と、受賞背景とは。

◆プリツカー賞受賞の快挙
 プリツカー建築賞(The Pritzker Architectural Prize)は、ハイアット・ホテルズ・コーポレーション(Hyatt Hotels Corporation)の創業オーナーであるプリツカー一族が、ハイアット財団を通じて1979年に設立した国際的な賞だ。毎年選ばれる受賞者には10万ドルの賞金とブロンズメダルが授与される。フランク・ゲーリー、安藤忠雄、ザハ・ハディッドなどが過去の受賞者として名を連ねる。また、国籍別に過去の受賞者を見ると、日本とアメリカがそれぞれ8名と、最も受賞が多い国籍となっている。ブルキナ・ファソ出身のケレの受賞は、アフリカ人初の快挙として報じられた

 受賞にあたり、「豊かだからといって、素材を無駄にするべきではない。貧しいからといって、質の高い創作を諦めるべきではない」とケレはコメント。さらに「すべての人々が質、ラグジュアリー、そして快適さに値する」と付け加えている。

ガンド小学校|Erik-Jan Owerkerk

 プリツカー賞の審査員らは、限られた資源や逆境という困難な文脈におけるケレのイノベーティブな建築に対するアプローチを評価している。具体的には、現場の素材やコミュニティ、文化といった資源を生かすやり方、欧州で受けた最先端の建築教育での学びと自らのアフリカのルーツとの両方を生かした建築デザインのあり方、さらにはボトムアップ&トップダウンのプロセスやグローバル&ローカルの要素といった2面性といったものも評価されている。

外科クリニックとヘルスセンター|Francis Kéré

Text by MAKI NAKATA