「来年行きたい国」調査でわかった日本避ける欧州人 難点はどこに?
◆欧州人にとっての日本旅行の壁
日本は観光地として、世界的に人気がある。たとえば、ファッション誌「ヴォーグ」「GQ」などを発行する米大手出版社コンデナスト・パブリケーションズの旅行誌「コンデナスト・トラベラー」の読者が選ぶリーダーズ・チョイス・アワード2019では60万人以上が投票し、世界でお気に入りの国として日本は12位に入っている。筆者の周りでも日本人気は明らかで、日本に観光旅行したスイス人たちは過去数年で本当に増えた。
大きな理由はおそらく旅費だろう。ヨーロッパから日本への旅費は、ほかのアジア諸国への旅費よりかなり高い。ダボス会議で有名な世界経済フォーラム(WEF)が2年ごとに発表している「旅と観光の競争力レポート」では、「旅行者に魅力的な国は?」という視点で詳細な分析が行われている。140ヶ国を比較した最新の2019年度版では、上位5ヶ国は1位スペイン、2位フランス、3位ドイツ、4位日本、5位アメリカだった(2015年、2017年も日本は4位にランク入りした)。
レポートの指標は4分野で、①「観光が行えるかどうかの一般的な状況」……経済状況、安全度、衛生面、人材など5項目、②「旅行・観光の政策」……観光の戦略、価格競争力、環境政策など4項目、③「インフラストラクチャー」……空路の充実度、鉄道や道路の整備度、宿泊施設やリゾート地の充実度の3項目、④「自然や文化的資源」……自然の豊富さ、文化的施設・サービスの充実度の2項目、合計14項目によって比較した。
国別の結果を見ると、日本は「価格競争力」の項目だけが対象国の平均値を下回って113位だった。その内訳は、航空券税と空港料金(航空券が高価になる要因)94位、ホテル代63位、食事代やサービス代128位、燃料価格77位だった。
ほかのおもなアジア諸国の「価格競争力」の結果は、マレーシア5位、インドネシア6位、インド13位、フィリピン24位、タイ25位、中国43位、シンガポール102位、韓国103位だった。
ヨーロッパにおいて、日本旅行は高いというイメージは根強いかもしれないが、ネットでは「日本への観光を安く済ませるには」というアドバイスがたくさん見つかる。コロナ禍が終息し、入国制限措置や自主隔離なしで日本へ自由に旅行できる日が来たら、ヨーロッパからより多くの人たちに日本を訪れて楽しんでもらいたい。
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