映画『ソニック・ザ・ムービー』、米での反応は? 前評判とのギャップに米紙驚き
♦︎不評から始まった大ヒット
昨年4月にソニックのビジュアルが公開されると、従来のかわいらしいイメージとのかい離が問題となった。CGのソニック以外は実写となるためか、頭身と顔の造作をリアルに表現していたが、これが不気味だとされ国内外で痛烈な批判にさらされた。監督のジェフ・ファウラー氏は修正を約束し、その後公開された修正版のキャラクターデザインはひととおり世論を納得させている。CGを担当するVFXアーティストには相当な負担が発生したと思われるが、ヴァージ誌は、監督がツイッターに投稿した延期発表に触れ、「#制作過程においていかなるVFXアーティストも虐待されていません」とのハッシュタグを使用したと伝えている。つらい状況に置かれた監督だが、映画のエンドロールに見られる「撮影中に動物虐待を行っていない」という但し書きをもじるユーモアを見せていた。
当初のデザインが原因でファンの間には不安が広がっていたが、ふたを開けてみれば評判は良好だ。CNET(2月16日)は、本作を昨年公開された『名探偵ピカチュウ』と比較する記事を掲載し、スタートダッシュの好調さを伝えた。アメリカではバレンタインデーに公開が始まると、週末を含む3日間の興行収入で『名探偵ピカチュウ』を上回った。同誌はソニックのキャラクターデザインの修正のため公開が3ヶ月遅れたと紹介したうえで、延期はそれに見合う結果につながったと評価している。
♦︎心温まるドラマと気の利いたユーモア
ニューヨーク・ポスト紙(2月13日)は同じくゲームから派生した『名探偵ピカチュウ』との類似点をあげ、「どちらの映画も、愛らしいが深みのないビデオゲームのキャラクターが、事件を解決するためコンビを組むこととなり、そして何らかの驚くべき人間性を引き出している」と述べている。本作では保安官トムの人生がソニックとの出会いで大きく変わるなど、ゲームには見られないドラマ性を用意する。
ワシントン・ポスト紙(2月13日)は、4つ星中3つと評価したライターのクリステン・ページカービー氏の論評を掲載している。「『ソニック・ザ・ムービー』は、心温まり、愉快でスマートだ。え、どういうこと?」とのタイトルは、前評判に反して充実した内容への驚きを感じさせる。「ありふれた下品な笑いを避け、スマートなユーモアと活力ある会話に溢れていて、そしてその中心には大きな青いハート(ソニック)が鼓動している」と記事は述べている。
娯楽映画として好評の『ソニック・ザ・ムービー』は、6月26日(金)より公開される。
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