Switch版『フォートナイト』配信開始 データ移行問題、ソニーの姿勢が浮かび上がる形に
人気バトルロイヤルゲーム『フォートナイト』に新たな展開があった。あの人気ゲーム機でもプレイすることが可能となったのだ。しかし、いい知らせばかりではない。フォートナイトファンは、ゲーム機メーカーのビジネス上の理由から分断に甘んじなければならないのだ。
◆より多くのユーザと開発者の呼び込み
任天堂は12日、Switch版『フォートナイト』を13日より配信することを発表した。この発表は、現在アメリカ・ロサンゼルスで開催中の世界最大のゲーム見本市E3における同社のプレゼンで明らかになった。
今回の発表に関して、フォートナイト・プレイヤーにとってはゲームをプレイする新たな選択肢が増えるのでいいことである、とワシントンポスト紙は評している。また、任天堂にとってはSwitchにより多くのゲーム開発者を引き込み、さらにはユーザ層を広げることのできる勝利の戦略である、ともしている。
米任天堂のレジー・フィサメィ社長も、同社以外のゲーム開発会社とのパートナーシップを築くことは、Switchの成功の鍵となる、と述べている。
◆ファンの分断
一方テック系ニュースサイト『テックレーダー』は、Switch版フォートナイトについて注意すべき点を報じている。同ゲームはゲーム機をまたいで同じプレイヤー情報を引き継げるようにエピック・ゲームズ・アカウントが用意されている。このアカウントをさらに個別のゲーム機のアカウントとリンクさせることで、プレイヤー情報を引き継ぐ仕組みとなっている。しかし、PS4固有のアカウントであるPSNアカウントとリンクしたプレイヤーが、プレイヤー情報をSwitchに引き継ごうとすると失敗するのだ。こうした現象が起こることから、PS4プレイヤーがSwitchに乗り換えようとすると、新規にアカウントを作成して、これまでのプレイヤー情報を放棄しなければならないのである。
以上の処置に関して、ソニーの孤立主義は逆説的に同ゲームのファンがSwitchあるいはXbox Oneでプレイすることをうながしてしまう効果があるだろう、と同記事では指摘している。というのも、SwitchあるいはXbox Oneでは制約のない対戦者とプレイできるからだ。
また、redditやResetEraといった掲示板ではソニーの処置に怒った任天堂ファンの書き込みが見られることを同記事は伝えている。
◆ソニーの思惑
テック系ニュースサイト『The Verge』は、ソニーがフォートナイトのエピック・ゲームズ・アカウントの引き継ぎを禁止した処置に関して論じている。記事によれば、ソニーは据え置き型ゲーム機市場においてトップのシェアを占めているのだが、Switch版フォートナイトのリリースはその市場の支配を脅かすものと見なした、というわけなのだ。
ソニーの排他的な戦略はほかのゲームやゲーム機でも認められ、昨年には特殊なクルマを操作してサッカーをプレイするゲーム『ロケットリーグ』や『マインクラフト』ではPS4とXbox Oneのクロスプレイをブロックしていた。
ソニーが排他的戦略を貫く理由に関しては、昨年、同社のグローバルセールスおよびマーケティング部門のトップであるジム・ライアン氏が「わたしたちの管理と保護が及びそうにない外部的な影響に子供たちをさらすような事態については、非常に慎重に考えなければならない」と釈明していた。