『パシフィック・リム:アップライジング』レビュー 超大作の続編はこうあるべき

Legendary Pictures / Universal Pictures via AP

 モンスターとロボットが対戦する映画『パシフィック・リム』のラストでは、恐ろしい巨大怪獣の通り道となって地球を恐怖に陥れていた穴を破壊し、太平洋の底にできた裂け目が閉じられた。しかし全世界で400億ドルものヒットを生み出した後、その扉は本当に閉じたままだろうか?

 いや、もちろんそんなはずはない。パシフィック・リムの最前線にあってひどい目にあった都市には深くお詫びするが、素晴らしいことに、続編『パシフィック・リム:アップライジング』は映像も見事で、スクリーン前で声援を送りたくなるような優れた作品である。超大作の続編はこうでなくてはと思わせる出来栄えだ。

『パシフィック・リム:アップライジング』では、画面の色調がより明るく、2013年公開の前作よりも若い世代の観客向けにシフトしている。前作の主要な要素を受け継ぎながら、特殊効果を増加し、地球破滅のさなかにも感動シーンやユーモアを見つけ出す。続編にもあらゆる側面から満足できる。

                                                                                                                 

 続編の成功は約束されていたわけではなかった。原作者のトラヴィス・ビーチャムと監督兼脚本のギレルモ・デル・トロは不在で(ただしデル・トロは製作として残っている)、チャーリー・ハナムやイドリス・エルバといった前作のスターもいない(イドリス・エルバが続編に出ないのにはもっともな理由がある。彼は太平洋の扉を閉ざすため、前作のラストシーンで自爆した)。

 デル・トロがより規模の小さいモンスター映画『シェイプ・オブ・ウォーター』の構想を練るため、StarzのTVドラマ『スパルタカス』で企画、脚本、製作総指揮を務めたスティーヴン・S・デナイトが監督に抜擢された。デナイトはエミリー・カーマイケル、キラ・スナイダー、T.S.ノーリンとチームを組んで続編の構想を練った。それは急ごしらえの家族とチームワークを大事にするとともに、アウトサイダーやはみ出し者を支持するストーリーである。加えて、いくつかの意味のない要素はカットされた。

 まず、恐ろしい近未来を描いた前作を知らない読者のために振り返ってみよう。世界の支配に先立って人間の力を弱めるため、エイリアンによってKAIJUと呼ばれる巨大怪獣が送り込まれてきた。それに対抗するため、人間はイェーガーと呼ばれる270フィートの高さのロボットを作り出した。イェーガーはとても大きいので、神経が橋渡しされ互いの意識・感覚を共有した状態の二人のパイロットにより操作される。

 続編の舞台は、最後のKAIJUに勝利し裂け目が閉じられてから10年後の2035年に設定されている。嵐の前の静けさである。主人公は前作でイドリス・エルバが演じた役の反抗的な息子であるジェイク(ジョン・ボイエガ)と、孤児の少女アマーラ(ケイリー・スピーニー)だ。アマーラは予備の部品を使って自分のイェーガーを作り出す。彼らは軍に協力して、新たな敵――海から出てきて、威嚇するように暴れまわる悪のイェーガー――と戦う。やがて陰謀が明らかになる。

『スター・ウォーズ』に出演したばかりであるボイエガを本作に迎えたことはラッキーだ。彼は父親の影に苦しむ威勢のいい悪党だが、すぐに仲間の尊敬を集める。「俺たちは家族だ。そして地球の最後の防衛線だ」と彼は言う。彼とスピーニーは出会ってすぐ惹かれ合う。彼らの間には、時々本当に魅力的で可笑しい瞬間がある。

 迷コンビの科学者、チャーリー・デイとバーン・ゴーマンは続編にも登場し、菊地凛子も前作でエルバが演じた役の養女として再び登場する。その他のキャストは人種も様々で、有能でイケている。新しいロボットの内部はホログラムになっており、KAIJUは前作のオマージュではなく、より我々の希望を打ち砕くようにデザインされている。

 前作では戦闘シーンの多くが、雨の中など暗がりで描かれていたのに対し、『パシフィック・リム:アップライジング』では白昼の戦いを描く。怪獣やロボットの戦いにより、都市はまっ平らになる。摩天楼には穴が空き、瓦礫が流され、車はそこら中に打ち捨てられている。特殊効果と人間の役者が驚くほどなめらかにつながれている。上海や東京の街並みからシベリアの氷原に至るまで、細部の描写も見事だ。

 製作者は、デル・トロの政治的な色合い――例えば、環境破壊が怪獣の攻撃を引き起こしていることや、攻撃を防ぐための壁の建設など――を排除しているが、彼の茶目っ気のあるユーモアは健在だ。派手な戦闘シーンのうちの一つでは、巨大怪獣とロボットがパンチを交わし、衝撃で体がゆがみ、地面に着陸し、横滑りしてドシン、バリバリと雷鳴のような音を上げながら止まるのに、その間駐車してある真っ赤なコンパクトカーにちょっとかする程度である。その車の警報が憤然と鳴り響く。こうしたディテール――戦闘の間に、緊迫したエレベーターの中で流れる有線音楽や、博物館の恐竜展示の横で行われる戦闘など――が暴力シーンの印象を変化させている。

『パシフィック・リム』のヒットの一因として、他の映画からたくさんの要素を取り入れて継ぎ合わせたことがある。観客はそれらの要素を、よく知っていると同時に新しいと感じる。『パシフィック・リム』は、ゴジラ映画の全作品に加えて、『ブレードランナー』、『インディペンデンス・デイ』、『マイノリティ・リポート』、『スター・ウォーズ』、そしてもちろん『トランスフォーマー』その他の影響を受けている。しかし『パシフィック・リム』が定義し表明した独特の世界や言語もある。

 本編では匂わされていないが、『パシフィック・リム』には何かしら神話的なエッセンスが感じられる。獰猛なモンスターがどこからともなく現れ、21世紀の剣士と戦う。それは勝利したイェーガーが、白熱した戦いの末倒した敵を見つめ、悠々と中指を突き上げるかのように爽快だ。エンドロールで第三弾の存在を予告しているのは、『パシフィック・リム:アップライジング』製作陣の自信の表れだ。我々は待ちきれない。

編注:『パシフィック・リム:アップライジング』は、4月13日から全国公開。

By MARK KENNEDY, AP Entertainment Writer
Translated by Y.Ishida

Text by AP

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