バルサがプレミアリーグに参戦する可能性も カタルーニャ独立の余波

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 スペインのカタルーニャ州では1日、スペインからの分離独立の是非を問う住民投票が行われた。もしカタルーニャ州が独立に成功すれば、同州都に本拠地を置くサッカーチーム「FCバルセロナ」がスペインのプロリーグから脱退し、イングランド・プレミアリーグに参加するかもしれない、と報道されている。

 スペインのプロリーグ「リーガ・エスパニョーラ」の1部リーグに参加しているチームのうち、カタルーニャ州を拠点とするチームは3つある。その中でもFCバルセロナ(愛称:バルサ)は、カタルーニャのシンボルであるため独立運動に大きく関わってきた。ロシアのRTによると、バルサはスペイン中央政府に対し、住民投票を妨害しないよう求めたという。警察と住民の衝突が避けられないと明らかになった後、バルサは投票日に予定されていたラス・パルマス戦の延期をリーグに要請したが、これも却下された。この事態に抗議するため、バルサはラス・パルマス戦を無観客で行った。

◆他国リーグでのプレイは普通?
 カタルーニャ州のスポーツ大臣を務めるジェラール・フィゲラス氏は先月26日に、バルサがスペイン外のリーグに参戦する可能性を示した。英国インデペンデント紙によると、フィゲラス氏は以下のように述べた。

「今、スペインでは他国から我々の国のリーグに参加しているチームがある。アンドラのサッカーチームやバスケットボールクラブだ。モナコ(ASモナコ)はフランスでプレイしていて、ウェールズのクラブ(カーディフ・シティFCとスウォンジー・シティAFC)がイギリスでプレイしている。UEFAは、クラブが他国のリーグに参加することを悪く思わないだろう」。

 またスカイ・スポーツによると、バルサのジョゼップ・マリア・バルトメウ会長も同じくリーガ・エスパニョーラからバルサが脱退する可能性があると言及している。

 バルサのプレミアリーグ参加は、クラブにとってもリーグにとってもビジネスチャンスだ。ビジネス・インサイダー誌によると、プレミアリーグは年間46億米ドル(約5200億円)の放映権料を得ている。これは、リーガ・エスパニョーラの3倍以上もあるため、バルサにとって収入の増加に繋がる。また、プレミアリーグにとっても、世界で最も価値あるスポーツチームのバルサが参加することはビジネス的に望ましい。

◆「誰にとっても難しい」
 一連の報道に対し、その現実性に懐疑的な人も多い。スポーツビジネスを専門とする英サルフォード大学のサイモン・チャッドウィック教授は、バルサがリーガ・エスパニョーラから脱退するには「ブレグジット級の交渉が必要である」と、脱退は起こり難いとした。また同氏は、「カタルーニャが独立するのであるならば、バルサはUEFAの会員権とチャンピオンズリーグに参加する権利を失う」と、国家の独立による制度的な問題も指摘している(エクスプレス紙)。

 また、プレミアリーグに所属するアーセナルFCの監督アーセン・ベンゲル氏もこの問題について言及している。スカイ・スポーツによると、記者会見でベンゲル氏は「カタルーニャ語を勉強する」と冗談を交えつつ、「バルセロナがプレミアリーグに参加したいとなれば、誰にとっても難しいことになる」と発言した。また、スコットランドのサッカークラブがイギリスのサッカーリーグに参加していないことに触れ、プレミアリーグの参加クラブ数を増やすのであれば「スペインのクラブを加入させる前にスコットランドのチームを呼ばなければ」と述べている。

Text by Masaru Urano