話者2人、消滅の危機にある謎のネパール先住民族語 新辞書に望み
著:Sanjib Chaudhary (Global Voices Journalist, Brand and Communication Specialist)
新しく売り出された本は、ネパールの消滅の危機に置かれている言語の一つであるクスンダ語の辞書を兼ね備え、その少数言語が絶滅してしまうのを防止するための一助となっている。世界のどの言語とも明確な系統関係が見つかっていない、この孤立した言語の語源は、言語学者達を困惑させている。
पाँच वर्षको प्रयासपछि तयार भयो कुसुण्डा भाषाको शब्दकोषhttps://t.co/OFcXajCcZv pic.twitter.com/g6mt1fOejq
— Thaha Khabar (@ThahaKhabar) July 30, 2017
2011年の国勢調査では、ネパールにおけるクスンダ民族の人口は273人であり、そのうち28人がクスンダ語を母語としているということが記録されているが、実際のフィールド調査によるとクスンダ民族は150人しかおらず、そのうち2人だけがクスンダ語を母語としているという。
クスンダ語は口頭言語であり、文字や書き言葉による記録や文書、本が一つも存在しない。現存するクスンダ民族の人々はネパール各地に散り散りになり、母語を話す機会がないのである。彼らは、現在暮らしているそれぞれの場所での生活様式や文化的ならわしを取り入れる必要があったのだ。結果として、クスンダ民族の人々は彼らの母国語を家庭でさえも話すことがなくなったのである。
この新しい本の作者であるウデイ・ラジ・アール氏によると、現存する2人のクスンダ語話者は、ダーン郡デウクリ出身のギアニ・マイヤ・セン・クスンダ氏(81)と、ロルパ郡出身のカマラ・セン・カトリ氏(48)である。現在、クスンダ民族の人々は、ネパールのカピラヴァストゥ郡、アルガカンチー郡、ピュータン郡、ルパ郡、ダーン郡、及びスルケ―ト郡に生存している。
“バンラジャ(森の王)”として知られているクスンダ民族は、狩猟採集民でありネパールの中央部や中西部の山岳部の森林地帯で数十年前まで遊牧生活を送ってきた。彼らの暮らしや、居住パターン、他と異なり独特なクスンダ語は、彼らがネパールに古代から暮らしてきたことを示している。
クスンダ民族は自分達の事を“森の王”を呼び、クスンダ語では“ギランンディ・ミャハク” と言い、ネパールの支配民族であるタクリ民族と対等な地位と関係を主張する。クスンダ民族によると、タクリ民族は農耕地帯における王であり、クスンダ民族は森林地帯において支配をしてきた。クスンダ民族はタクリ民族の名字に当たるシャヒ、センやカーンをよく名乗っているのだ。
アール氏による本は、クスンダ民族の歴史、言語、文化や伝統に触れ、クスンダ語の2,500以上の単語を集約している。しかし、アール氏はクスンダ語を研究する唯一の研究者ではない。ブライアン・ホウトン・ホッジソン氏、ヨハン・レインハード氏、デイビッド・ワッタース氏、B.K.ラナ氏、マドハブ・プラサッド・ポハレル氏も、この謎めいた言語を解明するために研究をしてきた学者達なのである。
フェリックス・ガエッケ氏とガヤトリ・パラメスワラン氏による、このビデオは、ギアニ・マイヤ・セン氏、彼女の息子、トリブバン大学の言語学部のポカレル教授に対するインタビューを取り上げたものである。
今年の地方選挙の結果はクスンダ民族にとって良いニュースであった。ネパールにおけるクスンダ振興会の創設者であるダーン・バハデュア・クスンダ氏がネパールで7番目に大きな都市であるゴラヒの執行委員会の代表に、少数民族枠から選ばれたのである。
クスンダ語が絶滅の危機に面している一方で、地方政府の中にクスンダ民族の代表が存在し、クスンダ語の辞書が編集されていることは、クスンダ民族の文化や伝統のみならず、言語をも保護することにつながるであろう。
This article was originally published on Global Voices. Read the original article.
Translated by Conyac
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