お酒を飲むと創造性がアップする 飲みすぎると逆効果 研究結果

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 仕事でなにもアイデアが浮かばないとき、少々のアルコールがあなたのクリエイティビティを活性化させてくれるかもしれない。最新の研究でアルコールにより人間の創造的認知に好影響をもたらすことが発表されたのだ。

◆三つのテスト
 オーストリアのグラーツ大学の研究チームは、アルコールが創造的認知にどういった影響を与えるのかを調査した。研究チームが実施した実験では、19-32歳からなる70人を対象に、ビールでアルコールをほどほどに摂取するグループと、ノンアルコールビールを摂取するグループに分けられた。アルコールを摂取するグループのビールの量は、血中アルコール濃度がUS BACで0.03%になるように、対象者の性別や体重、年齢を考慮して調整された。

 そして参加者は実務能力、創造的な問題解決能力、様々な観点を関連づける能力である発散的思考力の三つの能力が測られた。

 1つ目の実務能力を計測するテストでは、アルファベットを一文字ずつランダムに画面に写し、画面に表示された文字が2つ前に表示された文字と一緒のときを判断させた。2つ目の創造的な問題解決能力を測るテストでは、関連性のない三つの単語を見て一つの言葉を連想させた。そして発散的思考力を測るテストでは、傘や靴などのある物に対して、どのような使い道があるか独創的な答えを求めさせた。

 結果は、アルコールを飲んだ者には実務能力が低下する一方で、創造的な問題解決能力には向上が確認された。一方で発散的思考力についてはアルコールの影響は観測されなかったという。

◆独特である創造的な問題解決能力
 アルコールを飲んだらなぜ創造的な問題解決能力が向上するのか。その鍵は創造的認識力がその他の認識活動とは一線を画するものであることが関係しているようだ。創造的認識力とは、一般的に自分の意識下で行なうものと、自分のうちから思わず出てくる自発的なものの相互作用から成り立つものである。

 他の思考においては有効な認知的制御だが、無意識にとってあだとなってしまうことがある。アルコールを飲むと、一点に集中してしまいがちな人間の視野を広げ、前述の相互作用を促すことでより創造的な思考プロセスを行いやすくなるとのことだ。

◆飲み過ぎには注意
 ただクリエイティブになりたければ、どんどんお酒を飲めばよいのではないかと考えるのは禁物だ。人間のクリエイティビティにとって有益な効果は、ほんの少しのアルコール量だけで到達できるものであり、それ以上の摂取はむしろ創造性を損なうものなのだという。

 また、アルコールによってあらゆる面でクリエイティブになれるわけでもないようだ。アルコールは、一点集中型の思考プロセスだけでは解決できない創造的な思考プロセスを行なう際には有効である。その一方で、アイデアを評価したり実行するための思考の際には高い認知的制御が必要となるので、それを弱めるアルコールは悪影響とのことだ。

 我々が思考する際には、理路整然としすぎて独創性を欠くときもある。お酒が体質的に弱い人には当てはまらないだろうが、もう少し創造的な思考がしたい時には一缶のビールが有効となるのかもしれない。

Text by Yota Ozawa

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