世界が注目する日本の学校給食 海外から高く評価されるポイントとは?
日本の給食制度を取材し評価した記事は、ワシントンポストやビジネスインサイダーなど複数の海外メディアで取り上げられている。そして最近はSNS上でも同様に日本の給食文化を高評価するビデオが多く視聴されている。海外から見たときに、日本の給食制度はいったいどう映っているのだろうか。
日本の公立学校の給食現場は四つの点において特徴的であると考えられる。まずはその質の高さである。栄養面に最大限の配慮がされており、ほとんどの場合その場で一から料理されている。第二にその価格の安さ、第三に食育の場を設けている点、そして最後に子供たち自身に給仕を行わせている点でも特徴的なようである。この様に日本の公立学校に通っていると当たり前のような給食事情も、世界的にみると当たり前ではないことが多い。
アメリカでは貧困層ほど安価で栄養価の低いファストフードなどに食が偏るため、そういった家庭の子供たちの肥満は深刻な社会問題になっているのである。それと比較して日本の給食は、栄養士による監修のもとで栄養バランスの考えられた献立になっている。つまり、一日に最低一回は滋養のある食事を子供たちに提供することを可能にしている。もちろん貧困や格差のもたらす問題群の根本的解決には至らないが、安価に栄養価の高い食事を学校で提供できる仕組みができあがっていることは、子供たちの健康をある程度維持する仕組みになっており、世界的にも評価される所以ではないだろうか。
NPO法人Table For Two Internationalでは、アフリカの子供たちに温かい給食を届ける仕組みを作っている。彼らはこの取り組みによって学校からの中退者が減ったことを示した。なぜなら、学校に子供たちを通わせればその子供は家以外のところで栄養をしっかりとって帰ってくるため、保護者たちも子供たちに畑仕事などを手伝わせるより学校に通わせるようになったのである。事情は少し違うかもしれないが、このように給食システムを整えることは様々にプラスの社会的波及効果が望める制度であることをうかがわせる事例である。
給食を通して食育を行う風習もまた、海外メディアからの評価が高い部分である。You are what you eat – 体は資本であり、食事はその中心である。日本の給食は実際に栄養の取れた食事を取りながら、健康的な食事の重要性を学ぶ場を幼いときから提供している。さらに家庭科が必修科目として教えられているのも、日本の食育の進んでいるところだろう。
最後に、給食の時間には自分たちで給仕をし、食べ終えた後はある程度の片付けも行うことは共同体の一員としての自主性と責任感を育む教育として海外から注目されているようだ。